...あれは可笑しき坊主なりとて御目を掛けられ愚老も有難き事に存じ日々油断なく出精罷在候(まかりありさふらふ)然るところに一日愚老をお呼びなされ其方誠に物真似の上手なれば今宵女中共の慰みに見物させばやと思ふなりとて奥御殿へ召連れられ...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...クラチットのお主婦(かみ)さんや娘どもの出精と手ばやさとを褒めた...
ディッケンス Dickens 森田草平訳 「クリスマス・カロル」
...阿蘭陀通詞は別して家學に出精熱心に研究するも...
徳永直 「光をかかぐる人々」
...従前通り江戸御屋敷(おやしき)御抱(おかかえ)の儒者松下先生につきて朱子学(しゅしがく)出精罷在(まかりあり)候処...
永井荷風 「榎物語」
...ソレカラ毎日毎日、上下(かみしも)ヲ着テ、諸所ノケンカヲ頼ンデ歩イタガ、ソノ時、頭(かしら)ガ大久保上野介ト云イシガ、赤阪喰違外(くいちがいそと)ダガ、毎日毎日行ツテ御番入リヲセメタ、ソレカラ、以前ヨリイヨイヨ悪イコトヲシタコトヲ残ラズ書取ッテ、只今ハ改心シタカラ見出シテクレロト云ッタラ、取扱ガ来テ、御支配ヨリオンミツヲ以テ、世間ヲ聞糺(ききただ)スカラ、ソノ心得ニテ居ロトイウカラ、待ッテ居タラ、頭ガ、或時云ウニハ、配下ノ者ハイツモ隠スガ、御自分ハ残ラズ行路ヲ申聞ケタ故、諸所聞キ合ワセタ所ガ、云ワレタヨリハ事大キイ、シカシ改心シテ満足ダ、是非見立テヤルベシ、精勤シロトイウカラ、出精シテ、アイニハ稽古ヲシテイタガ、度々書上(かきあげ)ニモナッタガ、トカク心願ガ出来ヌカラクヤシカッタ――」まあ、とにかく、この辺で納まれば見つけたものだ、箸(はし)にも棒にもかからぬ代物(しろもの)だが、人間にはまだ見どころがある、この神尾のように腹まで腐りきってはいないところがあると、主膳も身に引きくらべてややさとるところがありました...
中里介山 「大菩薩峠」
...出精するうち悪心起り...
南方熊楠 「十二支考」
...長者怪しみ問うと諸大士心配するな出精して水をやれといった...
南方熊楠 「十二支考」
...「皆出精(しゅっせい)であったぞ...
森鴎外 「阿部一族」
...「霊台院様御病中出精相勤候に付」と云ふ賞賜である...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...然る処年を経追々丈夫に罷成医業出精仕候に付...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...しかしその文学出精と云ふを以て...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...医業出精仕候に付...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...武芸の道のみは人並外れて出精し...
夢野久作 「白くれない」
...学問を出精せるに非ず...
夢野久作 「白くれない」
...武芸出精(しゅっせい)の張合が御座らぬ...
夢野久作 「名君忠之」
...ご修行に出精をお頼み申します...
吉川英治 「剣難女難」
...一層芸術に出精いたすようそちからも呉々も励ましてもらいたい」「へへッ……」――何として忠房のこの言葉に対して...
吉川英治 「剣難女難」
...以後浮薄な慢心を慎(つつし)んで家来どもにも真の武芸を出精させいと! よいか!」ワッと逃ぐるを追って呶鳴りつけた...
吉川英治 「剣難女難」
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