...出たとこ勝負でぶつかってゆくより今の四人には手のほどこしようがないのだった...
海野十三 「恐竜島」
...又々例えば、時候も春めいて、僕の大好きな「鳥の竹の子煮」と称する、名の示す如き甘煮(うまに)が、京都名産と銘打って、百貨店(デパート)の食料品部の一役を勤める頃となれば、僕はその辺に行った序(ついで)の、出たとこ勝負で、最寄りの百貨店(デパート)で求めることにしている...
辰野九紫 「青バスの女」
...先生には斬られ損(ぞこな)い、坊さんには丸められちまい、せっかく磨(みが)いたがんりきの面(かお)もつぶれそうでございますから、なんとか眼鼻のあくようにしようと思って、執念深くもしょっちゅうあれから、お後をつき通しでございました」「後を跟(つ)いても跟(つ)き栄(ば)えもすまいな」「ところがいいあんばいに、こんな風向きになりましたから、ここでまたどうやらがんりきの目が出そうでございます」「そうして、お前はどうするつもりで拙者をここまで連れて来た」「どうするつもり? そうおっしゃられると、ちと御返事に困りますが、あっしどもの仕事は、こうすればこうなるというような算盤(そろばん)でやるんではございません、出たとこ勝負で、いたずらがしてみてえんで」がんりきは皮肉な薄笑いをして竜之助の面を横から見て、「まず第一には、七兵衛の野郎を出し抜いたのが面白いんでございます、その次には、あの切髪の御新造(ごしんぞ)を烟(けむ)に捲いてやったのが面白いんでございます、それから先生――先生を馬に乗せてこっちの方へお連れ申すと、あとから七兵衛と、それから先生を仇(かたき)だといっている若い侍と、それからもう一人、あの艶(あで)やかな御新造が追蒐(おっか)けて来るにきまっている、そこでまた面白い一仕事があるんでございます」がんりきは、自分が筋書(すじがき)を書いて役者に踊らすような気取り...
中里介山 「大菩薩峠」
...がんりきの百蔵も、この人にとっつかまっては弱りきっているのを、山崎はグングンと引張って、「がんりき、貴様はこの間、南条なにがしの案内をして相模野街道を南へ歩いていたそうだが、あれはどこへ行ったのだ」「白状してしまいますから、どうか、そう強く手を引張らないようにしていただきたいものです、片一方しかないがんりきの手がもげてしまうと、かけがえがねえんでございます」がんりきの痛そうな面(かお)を見て、山崎は引張っていた手をゆるめて、「うむ、素直(すなお)に言ってしまえよ」「素直に申し上げるまでもございません、あれは、たあいのねえことなんです、ほんの道連れになっただけのものでございます」「まだトボけているな」「お待ち下さい、私の方ではたあいのないことなんですが、先方様の思惑(おもわく)のところはわかりません、ただちょっとした縁で道づれになって、その道筋の案内を少しばかりして上げたようなものでございます」「その案内の道筋というのは、どっちの方角だった」「それは……その、八王子から平塚街道を厚木の方へ出る道をたずねられたものですから、その案内をして上げました」「いや、そうではあるまい、貴様は南条なにがしの手引をして、荻野山中(おぎのやまなか)の大久保長門守の城下へ入り込んだのだろう」「ええ、それは違います」「違うはずはない、白(しら)を切ると承知せんぞ」「違います、あの方は果して厚木へおいでになったか、それとも荻野山中の大久保様の御城下とやらへおいでになったか、そのことは一向存じませんが、かく申すがんりきは途中からお暇乞(いとまご)いをして、八王子へ出て参ったに相違ございません」「がんりき、貴様は、南条、五十嵐の一味が容易ならぬ陰謀を企てていることを知って彼等に加担(かたん)しているのか、知らずして働いているのか」「どう致しまして、あの先生方が、どういう大望を企てて、どういう陰謀をめぐらしているのだか、私共にはそんなことはわかりません、出たとこ勝負で、頼まれるままにいい気になって、附いたり離れたりしているまででございます」「そうすると貴様は、あの者共のダシに使われているだけだな」「そうでございますとも、ダシに使われているだけの罪のねえのでございますから、どうかお手柔らかに願いたいんでございます...
中里介山 「大菩薩峠」
...拙者のは出たとこ勝負で...
中里介山 「大菩薩峠」
...風の吹廻しではファッショイとなり国侍となり景気のいい方へ出たとこ勝負で渡りをつけお手先となり...
中里介山 「大菩薩峠」
...「鍋島」全く出たとこ勝負で...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...三平 一体、そりゃ、なんの事だ?欣二 だからさ、要するに、その時その時で、出たとこ勝負で、茶にして暮すほかにしょうがねえだろうと言うんだ...
三好十郎 「廃墟(一幕)」
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