...)伊上凡骨に、芥川さんの頼みだができるだけ藍を濃くして刷つてみてくれとたのんで、刷つてもらつたものを屆けると、今度は、君、どこかいい細工物屋を知らないか、これで女持ちの紙入を二つこしらへてもらひたいのだがといふので、鎗屋町(現在の銀座西四丁目四)の清兵衞さんに相談にゆくと、並びの川島甚兵衞の店のよしべいさんを紹介してくれ、そのよしべいさんに連れられて、丸善のそばかと思つた横丁のしもたやにいつて、その家の人と相談して、裏は鹽瀬の古代紫にしてもらふことにしたが、出來上つたものをみると、表がごりごりの白木綿に藍だから、イキなものになつて桐の箱にはいつてゐた...
小穴隆一 「二つの繪」
...伊上凡骨といふ奇骨ある彫師...
小穴隆一 「二つの繪」
...凡骨(ぼんこつ)の倍以上に神経が鋭敏なのかも知れん...
夏目漱石 「草枕」
...木版の刻は伊上凡骨氏を煩はした...
夏目漱石 「『心』自序」
...彫刻師凡骨などのお伴をした時は...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...凡骨がそれを実行したのである...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...その凡骨は元来職人ではあるし少し変つた所もあり可哀らしい所もあつたので...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...フリツルンプや凡骨や都川という木下杢太郎氏の詩へ出てくる鳥屋の話など...
正岡容 「随筆 寄席風俗」
...平たく言へば凡骨だ...
宮原晃一郎 「愛人と厭人」
...伊上凡骨といふ木版彫刻家である...
吉川英治 「折々の記」
...この凡骨の顏にはあつた...
吉川英治 「折々の記」
...伊上凡骨の事蹟を殘しておきたいが...
吉川英治 「折々の記」
...凡骨の畸人と奇行ぶりは...
吉川英治 「折々の記」
...伊上凡骨がその屏風のまへで...
吉川英治 「折々の記」
...そこ迄に凡骨は云つてくれたけれど、自分はつい箱を作るのもおつくふだし、又平福氏の所までわざ/\見せに行つてから、違つてゐたなどと云はれては、寔に間のわるいものになると思つて、ついずる/\に忘れてゐるうち、その凡骨も死に、平福百穗氏も故人になつてしまつた...
吉川英治 「折々の記」
...日頃よく僕のうちへ遊びに来る木彫家の伊上凡骨が...
吉川英治 「小説のタネ」
...だから台所へくる御用聞きなどが、凡骨がいないと、『今日は御隠居さまはお留守ですか』と言ったりしましたよ...
吉川英治 「小説のタネ」
...井上剣花坊、近藤京魚、伊上凡骨、川上三太郎氏らと相知る...
吉川英治 「年譜」
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