...作者は凡手でない...
高村光太郎 「本邦肖像彫刻技法の推移」
...……「悪霊」――わたしは今この町――別にこれという特色もないこの町で、つい近頃もちあがった、奇怪な出来事の叙述に取りかかるに当って、凡手の悲しさで、少し遠廻しに話を始めなければならぬ...
豊島与志雄 「作家的思想」
...しかも交互におく黒白の一石は自分の恥しい俗手凡手ではなくて本因坊の...
中勘助 「独り碁」
...我われ凡手には考察しきれぬ複雑な戦略的理由によって盤石(ばんじゃく)のごとく動かしがたく据えられるのである...
中勘助 「独り碁」
...数かずの局を続けることにより古人の名局が凡手の脳裡に錯綜して風趣をそこなうことのないように...
中勘助 「独り碁」
...これは凡手(ぼんしゅ)には言えないことだ...
長谷川時雨 「朱絃舎浜子」
...こんな一つの造句でも凡手のよく造り得る所ではない...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...泊る妓の蚊帳の向ふで櫛を替へ泊る妓の汗よけだけがつるさがり泊る妓の肌着になるとちぢこまりかんざしと櫛とを置いてスルリ寝る小待合蚊帳のつり紐ふと見かけニア人になると芸者のカレライスのめばいいんでシヨと芸者トヲ十五十二時が過ぎて待合おもしろし一誦よく岡場所の艶笑場面を賦して毫末も卑賤の感を与へないのはまことにまことに凡手ならざるものがあるではないか...
正岡容 「旧東京と蝙蝠」
...凡手ならずと今に嘆称するのところなり...
正岡容 「随筆 寄席囃子」
...繰り返すようだが凡手でない(どうして旦那に長兵衛の住所が分ったか...
正岡容 「我が圓朝研究」
...落花を画いて置きながら桜の樹を画かずかへつて柳をあひしらふた処は凡手段でない...
正岡子規 「病牀六尺」
...「新小説」「文藝倶樂部」「新著月刊」「小天地」といふやうな一流の文藝雜誌に掲載されたものは大凡手に入(はい)つたつもりでゐた...
水上瀧太郎 「貝殼追放」
...是れ最も凡手の難しとする所...
八面樓(宮崎湖処子) 「泉鏡花作『外科室』」
...其凡手なるためなり...
森鴎外 「柵草紙の山房論文」
...あの刀さばきは凡手では不可能だ...
山本周五郎 「花も刀も」
...凡手ではない」「とにかくこうしていてもしようがない」伊兵衛が云った...
山本周五郎 「夜明けの辻」
...九州に同名の凡手の画家があったのだ...
吉川英治 「随筆 宮本武蔵」
...凡手ではない――武蔵の画ではなくても――これは凡画ではないと...
吉川英治 「随筆 宮本武蔵」
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