...息を凝して、二人の対話に耳を傾けた...
豊島与志雄 「二つの途」
...數寄(すき)を凝した庭を繞(めぐ)らして...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...平次と差し向いで密議を凝しているところへ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...」隣りの声など耳には入らず純吉は、眼を凝してゐた...
牧野信一 「明るく・暗く」
...机に向つて架空的な思ひを凝した...
牧野信一 「或る日の運動」
...輝子は笑ひもせず稍蒼ざめた面持で凝つと虚空に瞳を凝してゐた...
牧野信一 「奇友往来」
...余等の東京は斯んなに素晴しい装ひを凝して今や初夏の輝やかしい陽の下に生気溢れてゐる...
牧野信一 「初夏通信」
...さう思つてなほも眼を凝して眺めると...
牧野信一 「四郎と口笛」
...新装を凝して一巻と成る今日に出遇ふた私の感慨に就いては多くを述べる要もなからうと思はれます...
牧野信一 「西部劇通信」
...夫々の仮装を凝して大浮れであつた...
牧野信一 「ゾイラス」
...一体誰も彼もが見惚れるほどの美女とは何んな顔か? とおもつて多少の眼を凝したのは事実であつた...
牧野信一 「天狗洞食客記」
...眼を凝して見ると辛うじて窺はれた...
牧野信一 「山を越えて」
...生(う)まずの女すなわち石婦(うまずめ)かあるいは何時も弱々しい子供しか生み得ぬ婦人かが粧いを凝し嫣然(えんぜん)と笑って媚を呈しているようなものである...
牧野富太郎 「植物記」
...今は回教僧だが昔取つた杵柄と丹誠を凝し...
南方熊楠 「詛言に就て」
...両方の瞳を隅の方に凝して厚い壁で仕切られた隣室の様子に注意した...
宮本百合子 「或る日」
...又は数奇(すき)を凝した休憩所で辨当を食べて帰る...
アルベエル・サマン Albert Samain 森林太郎訳 「クサンチス」
...丹田から精心を凝して白刄を一颯する...
吉川英治 「折々の記」
...閑雅(かんが)な趣きを凝してある...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
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