...代助は眼を俯(ふ)せて凝(ぢつ)と女の顔を見詰めてゐた...
芥川龍之介 「文芸的な、余りに文芸的な」
...太陽雰囲気中で凝縮した液体の小さな滴は輻射圧の作用で太陽から追いやられ...
スワンテ・アウグスト・アーレニウス Svante August Arrhenius 寺田寅彦訳 「宇宙の始まり」
...彼の変った凜とした姿を凝視(みつ)めて居た...
池宮城積宝 「奥間巡査」
...私は、かれの歿したる直後に、この数行の文章に接し、はっと凝視し、再読、三読、さらに持ち直して見つめたのだが、どうにも眼が曇って、ついには、歔欷(きょき)の波うねり、一字をも読む能わず、四つに折り畳んで、ふところへ、仕舞い込んだものであるが、内心、塩でもまれて焼き焦がされる思いであった...
太宰治 「狂言の神」
...その凝視からのがれるために...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...暫らくは凝然(じっ)として立ち縮(すく)むばかりです...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...凝脂(ぎょうし)豊かなくせに...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...二の側の角の「中洲」という表千家流に凝り抜いた構え...
久生十蘭 「魔都」
...さうしていつまでもさうやつて凝つとしたままでゐて...
堀辰雄 「詩集「窓」」
...これも憂世の何やらで――などゝわたしは凝つと神妙に堪へて...
牧野信一 「書斎を棄てゝ」
...「仲々、凝つた柄だね、それは――」兵野は、見惚れながら呟いた...
牧野信一 「露路の友」
...庭も狭いながら凝(こ)ったものだった...
山本周五郎 「日本婦道記」
...その凝りようはかなり甚だしいものがある...
夢野久作 「梅津只圓翁伝」
...一直線の真正面をニコニコと凝視しながら...
夢野久作 「怪夢」
...寝台の向側の混凝土(コンクリート)壁を凝視した...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...天を凝視していたが...
吉川英治 「三国志」
...とたんに胸は凝縮(ぎょうしゅく)の痛みをしていた...
吉川英治 「私本太平記」
...光秀の胸に凝(こ)り固っていた万丈(ばんじょう)の氷怨(ひょうえん)は雪解(ゆきげ)のごとく解け去ったであろうが...
吉川英治 「新書太閤記」
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