...この毛虫の通りの危険を凌(しの)がなければならぬ...
芥川龍之介 「芸術その他」
...凌(りょう)ぜられるとでも思ったかも知れぬ...
芥川龍之介 「俊寛」
...金博士の製品を凌駕(りょうが)しています...
海野十三 「毒瓦斯発明官」
...冬中の寒さはこれだけあつたら凌ぎおほせるだらうと位に考へてゐたらしいのです...
薄田泣菫 「桜の花」
...威権戸長を凌ぐの郷紳も...
徳富蘇峰 「将来の日本」
...下凌霜子來り話す...
永井荷風 「荷風戰後日歴 第一」
...たとえ一晩でもこの笠で雨露(あめつゆ)お凌(しの)ぎ下さいまし」自分の持って来た菅笠(すげがさ)を...
中里介山 「大菩薩峠」
...それとも心付かずしてあくまでも男子を凌(しの)がんとする驕慢(きょうまん)疎野(そや)の女よと指弾(つまはじ)きせらるることの面目なさよ...
福田英子 「妾の半生涯」
...陽炎のたち登るアスフアルトの道――想つても凌ぎ難い熱気を覚えます...
牧野信一 「〔婦人手紙範例文〕」
...二階建で風雨が凌げれば充分であると思う...
牧野富太郎 「牧野富太郎自叙伝」
...いつも凌雲閣十二階高塔の赤煉瓦が存してゐる...
正岡容 「異版 浅草燈籠」
...これからは凌ぎよくもなりますし...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...たとえ敬虔(けいけん)の意と誠実の態度とにおいてはあえて彼を凌(しの)ぐことを得(う)という能わざらんも人の耳を経(ふ)ること多からず人の口と筆とを倩(やと)いたること甚だ僅(わずか)なりし点においては彼の淡泊無邪気なる大納言殿(だいなごんどの)かえって来たり聴くに値せり...
柳田国男 「遠野物語」
...しかし苦労をともに凌(しの)いで来た「なかま」とは違います...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...ニグロの中にも印伊(インイ)人を凌(しの)ぐ学者がいるのであります...
夢野久作 「鼻の表現」
...他目(はため)で思うよりは凌(しの)ぎ易(やす)いらしい...
吉川英治 「剣難女難」
...凌統には、承烈都尉(じょうれつとい)の封を与え、甘寧には兵船百隻に、江兵五千人をあずけ、夏口(かこう)の守りに赴かせた...
吉川英治 「三国志」
...隊長の、凌統も、二度目に引返してきたときは、すでに部下の大半以上討たれていたので、その苦戦ぶりは言語に絶し、ついに全身数ヵ所の鑓瘡(やりきず)を負い、満身朱(あけ)にまみれて、よろよろと、小師橋附近までのがれて来た...
吉川英治 「三国志」
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