...甲板をポケットに手を突込んでぶらぶら歩くと襟元を過ぎる風が凉しい...
海野十三(佐野昌一) 「南太平洋科學風土記」
...紅葉の散るは、悲凉也...
大町桂月 「近藤重藏の富士山」
...されど夜の二三時となりては、凉しさ過ぎて、むしろ寒さを覺ゆ...
大町桂月 「月の東京灣」
...われはたゞ一種異樣の感にうたれ、われ我を忘れて枯坐しけるに、雨脚はやう/\我に遠ざかりて、軒より直下する點滴、水晶簾を下して、雨の名殘をとゞめ、空は早くも瑠璃をみがきて、一痕の凉月、御嶽の上にさやかなり...
大町桂月 「八鹽のいでゆ」
...荒凉は依然として荒凉なり...
田山花袋 「秋の岐蘇路」
...生え際凉しく高めに結いあげ...
豊島与志雄 「女心の強ければ」
...」凉しい声で呼ばれました...
豊島与志雄 「白い朝」
...風鈴(ふうりん)の音(ね)凉しき夏の夕(ゆうべ)よりも...
永井荷風 「妾宅」
...往来(わうらい)の片側に長くつゞいた土塀(どべい)からこんもりと枝を伸(のば)した繁りの蔭(かげ)がいかにも凉(すゞ)しさうに思はれた...
永井荷風 「すみだ川」
...夜に入り凉風颯...
永井荷風 「断腸亭日乗」
...亂れた藁の上を偃うて半ば枯れた葉の間に轉がつてぢり/\と日光に照りつけられて居るのは見るから暑さうであるが此の松蔭の草の中に積まれたのは極めて凉しい感じである...
長塚節 「白甜瓜」
...花火も凉みも濟んで...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...凉み船の中で射殺されたのですから...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...門の凉台であげる線香花火も可愛いと思ふが...
長谷川時雨 「花火と大川端」
...夏の夕べ凉風を納れるには...
濱田耕作 「沖繩の旅」
......
原民喜 「遺書」
...「やめろ、七十郎」と十左衛門が呼びかけた、「そんな若輩を相手にどうする、捨てておけ捨てておけ」「そうはいかぬ、おれがやめるつもりでもこいつらは承知しない、こいつらは初めから喧嘩をする気でいたんだ」と七十郎が云った、「おおかた腕自慢で、人に喧嘩をふっかけてはいい気持になっていたんだろう、いちど懲りるまではその鼻が折れない、世間や人が迷惑するばかりだ、大藤五郎太、横田凉軒、それからそっちの名なしの兵六(ひょうろく)」彼は三人を見やり、凉軒の槍をみて、ばかげた槍だ、と笑い、そして身構えをして、さあかかれ、と云った...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...蘭学者新宮凉庭(しんぐうりょうてい)が...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
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