...おんつぁんはいつものやうに凄惨な美声で松前追分を歌ひはじめた...
有島武郎 「骨」
...どのやうな凄惨な劇映画もかつてあれほどの感動を私に与へたことはない...
高田保 「貸家を探す話」
...七代信寧の宝暦ならびに天明の大飢饉は津軽一円を凄惨な地獄と化せしめ...
太宰治 「津軽」
...おれの凄惨な一声で...
太宰治 「一つの約束」
...私の顔とこの凄惨な屍体とを等分に見較べながら戦(おのの)きつつ遠巻きにして犇(ひし)めいている土人たちに言いつけて...
橘外男 「令嬢エミーラの日記」
...それが一番凄惨な死体と逃れようもなく顔を合せることになったのですから...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...兎に角この美しい歌い手の最期の凄惨な有様に...
野村胡堂 「焔の中に歌う」
...仇敵討物はますます凄惨な作意に走ってその残酷面(おもて)を外向(そむ)けしむるものが多かった...
林不忘 「仇討たれ戯作」
...ゴーゴリの場合よりももつと凄惨な感じがします...
原民喜 「ガリヴア旅行記」
...食はれるか」何か凄惨な姿で女はひとり呟いてゐた...
原民喜 「災厄の日」
...なんともいい表しがたい凄惨な色が流れていて...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...重く垂れ下った瞼の間から一種凄惨な光が洩れ出して来た...
久生十蘭 「魔都」
...はらわたを抉られた赤蛙の骨ひとつになつて水の上を泳いでゐる凄惨な姿が...
牧野信一 「裸虫抄」
...私が今朝ほど想像したような凄惨な...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...そのいちめんな血汐や柱の刀きずの凄惨なるありさまに気を失うかもわからないでしょう...
吉川英治 「江戸三国志」
...蒼白い凄惨な顔のうちにも...
吉川英治 「新・水滸伝」
...前号の倶利伽羅谷の凄惨な大量戦歿の場面と...
吉川英治 「随筆 新平家」
...そしてぐっすり寝入ってしまうのだ!何が怖ろしいといって、これほど凄惨な、胸の底まで掻きむしられるような追善供養を、わたしはこの年になるまで見たことがない...
レスコーフ Nikolai Semyonovich Leskov 神西清訳 「かもじの美術家」
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