...自然は唯(ただ)冷然と我我の苦痛を眺めている...
芥川龍之介 「侏儒の言葉」
...この騒ぎのうちにも冷然とたたずみながら...
芥川龍之介 「偸盗」
...その時も始は冷然として取り合ふ気色を見せずにゐました...
芥川龍之介 「文芸鑑賞講座」
...冷然と美しい娘や職工共を見ている...
アルチバシェッフ M. Artzibaschew 森鴎外訳 「罪人」
...竜之助は冷然として燈火(ともしび)に顔をそむけて...
中里介山 「大菩薩峠」
...冷然として昂奮はおかしいようですけれども...
中里介山 「大菩薩峠」
...学生の方は冷然と彼を見つめた...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...しかし孤独に立つて冷然と自分の理性をとぎ澄ませてゐることも出来るのである...
北條民雄 「青春の天刑病者達」
...その冷然とした久保のうしろ姿に...
三好十郎 「肌の匂い」
...」持彦は冷然として或る末路を迎えるような...
室生犀星 「花桐」
...ご亭主にするのはいやでございます」冷然として言い放った...
森鴎外 「安井夫人」
...しかし呉羽は冷然と落付いていた...
夢野久作 「二重心臓」
...石のように頬を固(こわ)ばらせたまま冷然と眼を閉じている………………………………………………………...
夢野久作 「笑う唖女」
...「どうした! 蔭間侍」冷然と...
吉川英治 「江戸三国志」
...いつもの彼のように賢い修養が冷然としている...
吉川英治 「御鷹」
...冷えた濡れ手拭のごとくその背は冷然と見える...
吉川英治 「剣の四君子」
...その中では、誰も皆、踵(かかと)が地につかないように歩いていたが、唯一人、高安平四郎だけは、終日(ひねもす)、冷然と、乾門(いぬい)の番衆小屋に腰かけて、人の噂に口を入れなかった...
吉川英治 「夏虫行燈」
...兄の身が、そのような無慈悲な言葉を』お菅(すげ)は、声を励ましたが、子の冷然として、強い顔を見ると、すぐ気も挫(くじ)けて、むしろその不機嫌を取做(とりな)し加減に、『そなたに、環(たまき)の心が、解けぬ筈はないじゃろが、よう聞いて賜(た)も、……環はな、もいちど、兄の片腕になって、其方(そなた)を松代の直胤にも勝る刀工にしてみせると云うのじゃぞ...
吉川英治 「山浦清麿」
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