...僕はいつも冷やかにかう云ふ彼を見おろしたまま...
芥川龍之介 「歯車」
...つらい心を冷やかに見せて歸つて來たのだ...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...却つて實際に接近した爲めにその友情の冷やかになつて行くのは...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...冷やかな調子で口を入れた...
大阪圭吉 「死の快走船」
...あの人はこのお子に対しては人の子のやうに冷やかだから...
鈴木三重吉 「桑の実」
...我々の上には氷の死が冷やかに訪れてくるだけのことであった...
橘外男 「ウニデス潮流の彼方」
...冷やかに階下の応接間へ通されてしまった...
橘外男 「ナリン殿下への回想」
...妙子がちょっと冷やかすような口調で云った...
谷崎潤一郎 「細雪」
...センセイショナルな世間の恋愛事件をも冷やかに看過して来た不幸な一人の老作家を...
徳田秋声 「仮装人物」
...コレジ・ド・フランスで社会学のモリス教授の講義を冷やかしていたら「文化中心を求める中谷(なかや)の図式方法」というのが出て来て...
中谷宇吉郎 「『日本石器時代提要』のこと」
...冷やかな眼をうごかさずによせている...
長谷川時雨 「流れた唾き」
...冷やかな水と仄暗い空があった...
原民喜 「死のなかの風景」
...此處なる冷やかのお縫も笑くぼを頬(ほゝ)にうかべて世に立つ事はならぬか...
樋口一葉 「ゆく雲」
...父の悲運のはじまりは、資質も力もないうちに望んでもいない皇位につかなければならなかったことと、心の冷やかな、手に負えないほど我意の強い、国民性も血の系統もちがう外国の女性と結び合わされたことだったように思います...
久生十蘭 「淪落の皇女の覚書」
...眉はもはや、あの冷やかな、少し悪意を帯びた驚きの表情で釣り上げられてはいず、さがって暗くなっているし、黒頭巾で半ば隠された頬は、さっきよりもこけたように見えるし、また厚い唇はすっかり蒼ざめているのである...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「神の剣」
...おそろしく冷やかな態度を示した...
山本周五郎 「桑の木物語」
...すぐに出してさしあげますわ」「そうだと思いました」つなは冷やかに頷(うなず)いた...
山本周五郎 「風流太平記」
...「そんげに妾(あたし)ば冷やかしなさるなら...
夢野久作 「斜坑」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??