...平日(いつも)の冷やかな科学的批判とは全く違ったシンミリした人情の機微に入った話をした...
内田魯庵 「二葉亭余談」
...その顔には、冷やかな、ぴくりともしない尊大な表情が表われていたので――わたしにはまるで別人のように見え、あの眼差(まなざ)しもあの微笑(びしょう)も、てんで見当らなかったけれど、それでいてこの新しい姿になっても、わたしにはやはり素晴(すば)らしいお嬢さんと思われた...
ツルゲーネフ 神西清訳 「はつ恋」
...冷やかな調子だった...
豊島与志雄 「女心の強ければ」
...冷やかに争っていた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...丁重に冷やかに拍手して...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...明らかに根底の不確実な連中によって最も悪い政治的暴逆が冷やかになされるのを...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...その旨(うま)さはただの記憶となって冷やかに残っているだけだから実感としては今思い出せないが...
夏目漱石 「思い出す事など」
...彼はさり気なく冷やかに肯(うなず)いた...
原民喜 「火の唇」
...相手が純真すぎたというところかな」常子は冷やかな微笑をうかべながら...
久生十蘭 「蝶の絵」
...父の悲運のはじまりは、資質も力もないうちに望んでもいない皇位につかなければならなかったことと、心の冷やかな、手に負えないほど我意の強い、国民性も血の系統もちがう外国の女性と結び合わされたことだったように思います...
久生十蘭 「淪落の皇女の覚書」
...それから彼女は再び元の冷やかな目つきになりながら云った...
堀辰雄 「菜穂子」
...または冷やかな寺院の中でひざまずいていようが...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「神の剣」
...うちつけの別れを惜しむかごとにて思はん方に慕ひやはせぬと冷やかしもした...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...」Oにはこの心持が見えていたらしく、冷やかに笑った...
室生犀星 「或る少女の死まで」
...その本性において悲しい事や罪な事に冷やかではないと知ってほしい...
柳宗悦 「民藝四十年」
...秋水冷やかなるを覚ゆ...
吉川英治 「上杉謙信」
...むしろ冷やかに見て幾分かの苦笑を唇(くち)の端に持っていた...
吉川英治 「源頼朝」
...真紅(しんく)の花と太陽の狂いあう夏の日を思わせるような性質のあるお通の一面に――こんな冷やかな――まるで白い蝋石(ろうせき)を撫でるような感じのする――そして指を触れれば切れそうな厳しい性格が...
吉川英治 「宮本武蔵」
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