...彼は冷えた両手でほとぼりの沁(し)み残った茶碗を握りしめてみた...
有島武郎 「星座」
...夜露を吸つて心地よく冷えた...
石川啄木 「鳥影」
...手足は冷えたろうと思うまで...
泉鏡花 「婦系図」
...卓上のバナナは、いの一番に皮だけになり、栗の皮が散乱し、長火鉢の炭も燃えつきて、冷えた茶は、もう色がなく、茶碗へ注ぐと音が高くなつた...
大下宇陀児 「擬似新年」
...遠い町で奏でゝゐる樂隊の騷々しい音が山の冷えた空氣に統一されて...
田村俊子 「木乃伊の口紅」
...ソーリン (冷えた両手をこすりながら)われわれももう行こうじゃありませんか...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「かもめ」
...夜気に冷えた窓硝子がぼーっと曇りを帯びるほど...
豊島与志雄 「林檎」
...これも、よく含んでおいてくれ、ええと――」将曹が、冷えた茶を、口へつけた時、次の間に、荒い足音がして、取次が「伊集院様――」と、云い終るか、終らぬかに、襖を開けて、伊集院平が入って来た...
直木三十五 「南国太平記」
...外の世界に空(むな)しく冷えたまま眠っている火薬に...
中島敦 「悟浄歎異」
...よく冷えたビールをその冷蔵庫の中から出してくれる...
中谷宇吉郎 「アラスカ通信」
...富岡は冷えた焼きそばの上に散らかつてゐる...
林芙美子 「浮雲」
...かやく飯(ぬくずしの冷えたやうなもの)に...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...これは冷えたのかと入浴してよくあたたまって床に入りました...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...湯煮(ゆだ)った時鮎を取揚げて魚も汁も双方を冷(さま)しておいてその魚へ今の冷えた汁をかけて出します」玉江嬢「そうでございますか...
村井弦斎 「食道楽」
...盃に残っている冷えた酒を啜(すす)った...
山本周五郎 「季節のない街」
...冷えた湖を渡る涼風に...
横光利一 「琵琶湖」
...冷えた濡れ手拭のごとくその背は冷然と見える...
吉川英治 「剣の四君子」
...酒も冷えた...
吉川英治 「私本太平記」
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