...縁側の柱によりかかってじっと冬枯れの庭を見つめている姉の肩に手をかけながらより添った...
有島武郎 「或る女」
...九月の末に至(いたれ)ば殺風(さつふう)肌(はだへ)を侵入(をかし)て冬枯(ふゆがれ)の諸木(しよぼく)葉(は)を落(おと)し...
京山人百樹刪定 「北越雪譜」
...突然二人は冬枯れた物寂しい沼地の上に立った...
ディッケンス Dickens 森田草平訳 「クリスマス・カロル」
...この喬木の冬枯(ふゆがれ)した梢(こずえ)に烏が群(むれ)をなして棲(とま)る時なぞは...
永井荷風 「日和下駄」
...乾燥(かんさう)した冬枯(ふゆがれ)の草(くさ)や落葉(おちば)に煙草(たばこ)の吸殼(すひがら)が誤(あやま)つて火(ひ)を點(てん)じて...
長塚節 「土」
...見渡す毛無も大裾野も、冬枯れの肌に、血が上ったように、何となく艶やめく...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...鈍い太陽が冬枯れの練兵場の上にあった...
原民喜 「三人」
...唯(たゞ)我(わ)れのみは廣野(ひろの)の原(はら)の冬枯(ふゆが)れを行(ゆ)くやうに...
樋口一葉 「にごりえ」
...窓から冬枯の川原が広広と見渡され...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...弓なりに迂回しながら冬枯れの裏山を指して脚速く遡つてゐた...
牧野信一 「心象風景(続篇)」
...四季の題目を以てこれを例せんに夏山 夏野夏木立(なつこだち)青嵐五月雨(さみだれ)雲の峰 秋風野分(のわき)霧 稲妻天(あま)の河(がわ)星月夜 刈田凩(こがらし)冬枯(ふゆがれ)冬木立 枯野 雪時雨(しぐれ)鯨(くじら)等はその壮大なる者なり...
正岡子規 「俳諧大要」
...冬枯に落葉して後もまた一種のさびた趣があつて他の凡木とは同日の論でない...
正岡子規 「病牀六尺」
...冬枯れの野に健康な緑色を見ることは樂しい...
室生犀星 「京洛日記」
......
森鴎外 「細木香以」
...今や冬枯を見ている...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...やがて心は碓氷の峰の頂(いただき)冬枯の落葉松(からまつ)に眺め入り...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集拾遺」
...蕭々(しょうしょう)と冬枯れを告げてくるが...
吉川英治 「親鸞」
...楢の葉が冬枯れて風に鳴る...
若山牧水 「樹木とその葉」
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