...その上はさすがに冬枯れた草山だが...
芥川龍之介 「日光小品」
...噫(ああ)、冬枯や、法師めくかの行列を見てあれば、たとしへもなく静かなる夕(ゆふべ)の空に二列(ふたならび)、瑠璃(るり)の御空(みそら)の金砂子(きんすなご)、星輝ける神前に進み近づく夕づとめ、ゆくてを照らす星辰は壇に捧ぐる御明(みあかし)の大燭台(だいそくだい)の心(しん)にして、火こそみえけれ、其棹(さを)の閻浮提金(えんぶだごん)ぞ隠れたる...
上田敏 上田敏訳 「海潮音」
...うらゝかな冬枯風景...
種田山頭火 「其中日記」
...冬枯れた窓外の山も野も見るから暖かそうな静かな冬の陽に浴して...
近松秋江 「狂乱」
...生理学教室の廃墟には冬枯れの雑草ががらがらに干からびて哀れである...
寺田寅彦 「病院風景」
...冬枯した蘆荻の果てしなく...
永井荷風 「枯葉の記」
...冬枯の不忍池を思ふ時...
永井荷風 「枯葉の記」
...丁度夕日の悲しく照す品川の入海と水田の間々(あひだ/\)に冬枯れした雜木の林をば...
永井荷風 「新歸朝者日記」
...冬枯の秋草を愛する松莚子の風流欣慕すべし...
永井荷風 「断腸亭日乗」
...見渡す毛無も大裾野も、冬枯れの肌に、血が上ったように、何となく艶やめく...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...蓬(よもぎ)も菖蒲(しょうぶ)も芽を吹かない池は、岸の草まで、冬枯れのままで、何の変哲もなく底をさらしているのです...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...この村の人は猿なり冬木立田も畠(はたけ)も凍りついた冬枯れの貧しい寒村...
萩原朔太郎 「郷愁の詩人 与謝蕪村」
...小高い冬枯れの墓丘があつて...
萩原朔太郎 「宿命」
...冬枯れの森の梢(こずえ)に異ならず...
南方熊楠 「十二支考」
......
室生犀星 「愛の詩集」
...冬枯れの庭を眺めていた...
山本周五郎 「薊」
...白楊のもとひともとの冬枯(ふゆがれ)の円葉柳(まろはやなぎ)は野の上にゴシツク風の塔を立て...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
...蕭々(しょうしょう)と冬枯れを告げてくるが...
吉川英治 「親鸞」
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