...罪なき幼児たちもまた甲鎧をつけてひざまずく東方の聖人たちも死にて三日の後よみがえりたまいし「彼」もまた、ありとあらゆる天使の群も(子供は長椅子(セトル)の上のメリイの側に跪き両腕を彼女にかける)むすめよ、天使と聖徒たちを呼びなさい子供花嫁さん、あたしと一しょにおいでそしてもっと愉快な人たちを見るのよしろい腕のヌアラ、鳥の姿のアンガスさかまく波のフアックラ、それから西を治めているフィンラと心のゆきたがるあの人たちの国がありますそこでは美しいものに落潮(おとろえ)もなく、滅びるものに昇潮(あげしお)も来ないそこでは智慧が歓びで、「時」が無限の歌なのあたしがお前に接吻すると世界は消えてゆくショオンそのまぼろしから醒めて――ふさいでおいでお前の眼と耳をハアト彼女(あれ)は眼で見、耳で聞かなければならぬ彼女(あれ)の霊の選択のみがいま彼女(あれ)を救うことが出来るのだむすめよ、わしの方に来て、わしのそばに立っておいでこの家とこの家に於けるお前のつとめを考えておくれ子供ここにいてあたしと一緒においで、花嫁さんお前があの人のいうことを聞けば、お前もほかの人たちと同じようになるよ子供をうみ、料理をし、乳をかきしバタや鶏や玉子のことで喧嘩をしやがてしまいには、年をとって口やかましくなりあすこにうずくまって顫えながら墓を待つようになるよハアトむすめよ、わしは天への道をお前に教えている子供あたしはお前を連れて行って上げるわ、花嫁さん誰も年をとったり狡猾になったりしない誰も年をとったり信心ぶかくなったり真面目になったりしない誰も年をとったり口やかましくなったりしないところへそして親切な言葉が人を捕虜(とりこ)にしないところへまばたきするとき人の心に飛んで来る考えごとでもあたしたちはすぐその通りにするのよハアト十字架の上のお方の愛する御名によってわしは命令する、メリイ・ブルイン、わしの方においで子供お前の心の名によって、あたしは、お前を止めるハアト十字架像を取りのけたからわしが弱いのだ、わしの力がないのだもう一度ここへ持って来ようマアチン(彼にすがりついて)いけませんブリヂットわたしたちを捨てていらしってはいけませんハアトおお、わしを放してくれ、取り返しがつかなくなる前にこんな事にしたのはみんなわしの罪なのだ(そとに歌の声)子供あの人たちの歌がきこえるよ「おいで、花嫁さんおいで、森と水と青い光へ」とうたっているメリイわたしあなたと一緒にゆくハアト駄目か、おお子供(戸口に立って)お前にまつわる人間の希望(のぞみ)は捨てておしまい風に乗り、波の上をはしり山の上でおどるあたしたちは夜あけの露よりもっと身が軽いのだからメリイどうぞ、一しょに連れてって下さいショオン愛するひと、わたしはお前を止めておくわたしは言葉ばかりではない、お前を抑えるこの腕があるあらゆるフェヤリイのむれがどんな事をしようとこの腕からお前を放すことは出来まいメリイ愛する顔、愛する声子供おいで、花嫁さんメリイわたしはいつもあの人たちの世界が好きだった――それでも――それでも子供しろい鳥、しろい鳥、あたしと一緒においで、小さい鳥メリイわたしを呼んでいる子供あたしと一しょにおいで、小さい鳥(遠くで踊っている大勢の姿が森に現われる)メリイ歌と踊りがきこえるショオンわたしのところにいておくれメリイわたしはいたいと思うの――それでも――それでも子供おいで、金の冠毛の、小さい鳥メリイ(ごく低い声で)それでも――子供おいで、銀の足の、小さい鳥(メリイ・ブルイン死ぬ、子供出てゆく)ショオン死んでしまったブリヂットその影から離れておしまい、体も魂ももうないのだよお前が抱いているのは吹き寄せた木の葉か彼女(あれ)の姿に変っている秦皮の樹の幹かもしれないハアト悪い霊はこうして彼等の餌を奪ってゆく殆ど神の御手の中からさえ日ごとに彼等の力は強くなり男も女も古い道を離れてゆく、慢りの心が来て瘠せた拳で心の戸を叩くとき(家の外に踊っている人たちの姿が見える、そして白い鳥も交っているかも知れない、大勢のうたう歌がきこえる)日の門から風が吹くさびしい心の人に風がふくさびしい心の人が枯れるそのときどこかでフェヤリイが踊るしろい足を輪に踏みしろい手を空に振って老人(としより)もうつくしくかしこいものもたのしく物いう国があると笑いささやきうたう風をフェヤリイは聞くクラネの蘆がいう風がわらいささやき歌うときさびしい心の人が枯れる――幕――...
ウイリヤム・バトラ・イエーツ 松村みね子訳 「心のゆくところ(一幕)」
...照斑(てりふ)あをき冠毛(かむりげ)や...
薄田泣菫 「泣菫詩抄」
...其上に馬尾の冠毛ものすごく勢猛く震り搖ぐ...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...馬尾の冠毛振りかざす甲(こう)の天邊(てつぺん)打碎き...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...アイア,ス即ち眞つ先きに長き冠毛振りかざす其敵將の甲突けば覘違はず鋭刄の 10槍は骨まで深く入り...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...甲の上馬尾の冠毛おそろしく搖ぐを眺め...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...特に中にもわれの分(ぶん)』488 XII 325.しかく宣してヘクトール馬尾冠毛の兜(かぶと)取り...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...敵は覘ひて打ちゆらぐ冠毛の下頭鎧の頂邊(てつぺん)討てば...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...そこより冠毛を拂ひ落せば...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
... 215馬尾の冠毛ゆらめきて...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...冠毛は鮮血及び塵埃にむごくまみれぬ...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...冠毛ゆらぐ其頭甲(づかう)利刄はげしく剛勇の腕の力にくりだせし槍にむごくもつんざかれ...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...冠毛すごく振り立てつ...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
... 315燦爛として美はしき金の冠毛打震ふ...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...ちょうどタンポポの冠毛のようで...
久生十蘭 「南極記」
...茎が高く伸び白い冠毛のある実を結び...
牧野富太郎 「植物記」
...それから六月のつやつや光る冠毛(かんもう)がみなはっきりと眼(め)にうかびます...
宮沢賢治 「おきなぐさ」
...一羽の鷺が静かに白い冠毛を立てながら...
室生犀星 「或る少女の死まで」
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