...」それは内気な彼女には珍らしい棘(とげ)のある言葉だった...
芥川龍之介 「玄鶴山房」
...どっちかといえば、内気な、鈍重な、感情を表面に表わすことをあまりしない、思想の上でも飛躍的な思想を表わさない性質(たち)で、色彩にすれば暗い色彩であると考えている...
有島武郎 「私の父と母」
...非常にしとやかな寧ろ内気な...
江戸川乱歩 「悪霊」
...むしろ、内気な、つつましい動物である...
太宰治 「女人訓戒」
...書画を弄(いじ)ったりして暮している内気な房吉は...
徳田秋声 「あらくれ」
...黙った内気な十二歳の少女で...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...静子は内気な弱々しい大人びた娘であったが...
豊島与志雄 「人間繁栄」
...まあ」と内気な妹は少し驚いたように眼を机の上に転じた...
夏目漱石 「虞美人草」
...小股の内気な運び工合は実に天下一品だ……この歩み工合だけでも...
野口米次郎 「能楽論」
...油っ気のない髪、白粉(おしろい)も紅も知らぬ皮膚、山のはいった赤い帯、木綿物の地味な単衣(ひとえ)、なに一つ取柄(とりえ)のないようすですが、そのつくろわぬ身扮につつんだ、健康そうな肉体と、内気な純情とは、どんな人にでも、訴えずにはおかなかったでしょう...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...お勝手口で泣いてるような内気な娘なんですもの...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...長時間の遅くまでの労働から何の喜びもない家庭へと帰ってゆく内気な若い娘たち...
エドガア・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「群集の人」
...道綱は、この頃、しきりに例の大和守の女(むすめ)の許(もと)へ文をやっては、内気な子だから、女の方の返事の思わしくないのを、一人でもどかしく思っているらしい...
堀辰雄 「ほととぎす」
...内気な私はそのためにおばあさんを苦しめるような事までしようとはしなかった...
堀辰雄 「幼年時代」
...やや内気な微笑がたえずただよっている...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「幻滅」
...一体に沈んだいらいらした内気な風を見せていた...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「道化者」
...人の言うことにそむかれない内気な性質の女王は...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...そんな中に内気なおとなしい人が混じって物思いをしていても軽佻(けいちょう)に騒ぐ仲間に引かれて...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
便利!手書き漢字入力検索