...内実は火の車までは行かないが...
梅崎春生 「狂い凧」
...』そんな抱負を口にはしたが、要するに内実は、芝居が演じて見たかつたので...
江見水蔭 「硯友社と文士劇」
...いいとしをして思慮分別も在りげな男が、内実は、中学生みたいな甘い咏歎(えいたん)にひたっていることもあるのだし、たかが女学生の生意気なのに惹かれて、家も地位も投げ出し、狂乱の姿態を示すことだってあるのです...
太宰治 「女の決闘」
...私のそんな親切なもてなしも、内実は、犬に対する愛情からではなく、犬に対する先天的な憎悪と恐怖から発した老獪(ろうかい)な駈け引きにすぎないのであるが、けれども私のおかげで、このポチは、毛並もととのい、どうやら一人まえの男の犬に成長することを得たのではないか...
太宰治 「畜犬談」
...大大名といえども内実は...
中里介山 「大菩薩峠」
...内実は母の希望通にしてやるのさ...
夏目漱石 「虞美人草」
...内実は一人前(いちにんまえ)なんだからね...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...内実はいずれも生活の饒多と単調さに倦(う)みはて...
久生十蘭 「うすゆき抄」
...リーナにたいする山川家の扱いは、見せかけほど冷酷なものではなく、内実は、困らぬだけのものを、毎月、こっそりと届け、恩恵で縛りつけておいた...
久生十蘭 「蝶の絵」
...ああ見えても内実はたいしたものではないなどと軽くいっているけれども...
久生十蘭 「復活祭」
...その内実は風波の動揺を互いの胸中に含むものというべし...
福沢諭吉 「日本男子論」
...政府の長老も内実は日本士官の伎倆(ぎりょう)を覚束(おぼつか)なく思い...
福澤諭吉 「福翁自伝」
...口先き計(ばか)り達者で内実は無難無事な子でした...
福澤諭吉 「福翁自伝」
...仮令(たと)い開国と触出(ふれだ)してもその内実は鎖攘の根性...
福澤諭吉 「福翁自伝」
...その内実は徳川政府がその幕下(ばっか)たる二...
福沢諭吉 「瘠我慢の説」
...残念ながら内実は言えない...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「謎の四つ指」
...内実は感傷家でしかないことが多い...
三木清 「人生論ノート」
...鼻だけはいつも顔の真中でこれを裏切って「怪(け)しからん奴だ」という感じを相手に与えるもの……又貧相な鼻の人は如何に脂切った景気のいい人相をしていても内実はいつもピイピイ風車と他人に見られるものと思い諦めている人がもしあったとしたら...
夢野久作 「鼻の表現」
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