...内実はやはりいろいろな過失が行われている...
大隈重信 「現代の婦人に告ぐ」
...いいとしをして思慮分別も在りげな男が、内実は、中学生みたいな甘い咏歎(えいたん)にひたっていることもあるのだし、たかが女学生の生意気なのに惹かれて、家も地位も投げ出し、狂乱の姿態を示すことだってあるのです...
太宰治 「女の決闘」
...私は、こんな吹出物して、心まで鬼になってしまっているのだな、と実状が薄ぼんやり判って来て、私が今まで、おたふく、おたふくと言って、すべてに自信が無い態(てい)を装っていたが、けれども、やはり自分の皮膚だけを、それだけは、こっそり、いとおしみ、それが唯一のプライドだったのだということを、いま知らされ、私の自負していた謙譲だの、つつましさだの、忍従だのも、案外あてにならない贋物(にせもの)で、内実は私も知覚、感触の一喜一憂だけで、めくらのように生きていたあわれな女だったのだと気附いて、知覚、感触が、どんなに鋭敏だっても、それは動物的なものなのだ、ちっとも叡智(えいち)と関係ない...
太宰治 「皮膚と心」
...内実は穢多に浚われたという神尾主膳...
中里介山 「大菩薩峠」
...お雪ちゃんは、久助が万事よくしてくれたことを表面は喜びましたが、内実は、また一当惑と思います...
中里介山 「大菩薩峠」
...大大名といえども内実は...
中里介山 「大菩薩峠」
...ああ見えても内実はたいしたものではないなどと軽くいっているけれども...
久生十蘭 「復活祭」
...その内実は禄を重んずるの種族が禄制を適宜(てきぎ)にしたるが故(ゆえ)に...
福沢諭吉 「旧藩情」
...事の内実はともかくも...
福沢諭吉 「日本男子論」
...口先き計(ばか)り達者で内実は無難無事な子でした...
福澤諭吉 「福翁自伝」
...その内実は徳川政府がその幕下(ばっか)たる二...
福沢諭吉 「瘠我慢の説」
...内実は学閥外の天才者流たる会田安明が関流の学閥に反抗した真剣の争いであったと見たい...
三上義夫 「芸術と数学及び科学」
...内実は感傷家でしかないことが多い...
三木清 「人生論ノート」
...内実はいかがわしい商売をしている女だったが...
山本周五郎 「お美津簪」
...しかしその内実はドンナものかと考えてみますと...
夢野久作 「少女地獄」
...恐ろしくアッサリとした別れ方であったが……しかし内実は決してアッサリでない事を...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...鼻だけはいつも顔の真中でこれを裏切って「怪(け)しからん奴だ」という感じを相手に与えるもの……又貧相な鼻の人は如何に脂切った景気のいい人相をしていても内実はいつもピイピイ風車と他人に見られるものと思い諦めている人がもしあったとしたら...
夢野久作 「鼻の表現」
...そしてこういう法令で治めているが、内実は、どうだとか、こうだとか――までをいう...
吉川英治 「新書太閤記」
便利!手書き漢字入力検索