...この階段を経ずして一足飛びには進み兼ねるけれども...
大隈重信 「現代の婦人に告ぐ」
...矛盾なく兼ねることが...
リットン・ストレチー Lytton Strachey 片岡鉄兵訳 「エリザベスとエセックス」
...鉛(この類は梨子地の材料で金と銀とはちょっと見て分り兼ねる)...
高村光雲 「幕末維新懐古談」
...其の二つの祝典に更に校友會館落成の祝をも兼ねる事になり其招待状が屆いた...
土井八枝 「隨筆 藪柑子」
...受取ったところでうまく処分ができ兼ねるだろうから...
中里介山 「大菩薩峠」
...ちょっと論断を立て兼ねるが――少なくとも...
中里介山 「大菩薩峠」
...これは当方の独断では取計らい兼ねるによって...
中里介山 「大菩薩峠」
...六十この青年と、かなりの長い談話をした後に、兵馬は、いざ別れようとして、「君、福井へ帰るなら、一つ頼みたいことがある」「何ですか、喜んで頼まれます」「実はねえ」と兵馬は、何と思ったか、自分のかぶっていた一文字の菅笠(すげがさ)を取って、「申し兼ねるが、君のその笠と、僕のこの笠と取換えていただけまいか」「え、僕のこのみすぼらしい饅頭笠と、あなたのその菅笠と、無条件交換ですと、僕の方が大きに儲(もう)かります、それでいいですか」「いいですとも、君、ひとつこの笠をかぶって福井へ帰って下さい、僕は君の笠をかぶって近江へ行きたい」「傾蓋(けいがい)の志ってやつですか」「いや、そういうわけでもない、必ずしも君に対する志というわけではないが、ところで、もう一つ、いま、拙者がその笠へ一筆書きますから、君はそれをかぶって福井へ着いたならば、その笠をそっくりひとつ、僕の名ざすところへ届けてもらいたいのだ」「笠だけを届ければいいんですか、おやすいことです、広くもあらぬ福井の城下ですから、所番地さえわかっておりますれば」「実は、福井の堺町というのです」「堺町、知ってます」「その堺町で、うつの家――福松というところへ、この笠を届けてもらいたい」「堺町で、うつのや福松君ですか、よろしいです、番地はなくてもわかりましょう」と心やすく引受けた...
中里介山 「大菩薩峠」
...あののあとを待ち兼ねる...
夏目漱石 「虞美人草」
...詳しくは申し兼ねるが...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...「そいつは手輕に受取り兼ねるが...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...安兵衛 (いい兼ねる)時次郎 は...
長谷川伸 「沓掛時次郎 三幕十場」
...わしもきっととは云い兼ねる...
森鴎外 「護持院原の敵討」
...値踏が出来兼ねるのである...
森鴎外 「花子」
...いつまでも人か神かの問を決し兼ねる...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...この一件が片付き兼ねる……下手人がわからぬとなると吾々(こっち)は元よりの事...
夢野久作 「狂歌師赤猪口兵衛」
...それが人から斬られるということは習練者ら一同の理解し兼ねることだったが...
横光利一 「夜の靴」
...左右に気を兼ねるようであればこの気合いが出ない...
和辻哲郎 「文楽座の人形芝居」
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