...ヤコフ・イリイッチはもう一度イフヒムを振り返って見ながら、押しつぶした儘の声で、見ろい、あの切目の長げえ眼をぎろっとむいて、其奴が血走って、からっきし狂人見てえだった...
有島武郎 「かんかん虫」
...其奴を野郎見付ければひったくり...
有島武郎 「かんかん虫」
...)其奴の頭に手が觸つた丈で癒してやる...
石川啄木 「葬列」
...其奴が君、戦つても見ないで初めツから生活に降参するなンて、意気地が無いやね...
石川啄木 「鳥影」
...私は其奴等の面を引叩いてやりたく思ふことが度々ある...
石川啄木 「文藝中毒」
...――其奴がよ、何處か思ひ出して見ると高橋に肖(に)とるんぢや...
石川啄木 「我等の一團と彼」
...そして其奴等の口眞似をして一人で悦(えつ)に入つてるんだ...
石川啄木 「我等の一團と彼」
...其奴(そいつ)の白状した処では...
泉鏡花 「婦系図」
...其奴がまた探しあてて出て来たから二三日中にまた何処かへ隠れねばならぬ...
近松秋江 「別れたる妻に送る手紙」
...「其奴(そいつ)ア悪いや...
徳田秋声 「新世帯」
...其奴が此頃つけ狙つて居るやうで...
徳田秋聲 「媒介者」
...其奴(そいつ)の頭を打ち破ったかもしれない...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...代助は其奴(そいつ)に体をごしごし遣(や)られる度に...
夏目漱石 「それから」
...「野郎ツ」「八、其奴が下手人だ、逃すな」平次は眼の灰を一生懸命擦(こす)つて居ります...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...其奴ア女が好きで淫売を買うのが道楽だったんだ...
矢田津世子 「反逆」
...むろん其奴(そいつ)が犯人だったのだが……まあ……急(せ)かずと聞き給え...
夢野久作 「近眼芸妓と迷宮事件」
...その偽山伏にちがいあるまい」「てッきり其奴(そやつ)です...
吉川英治 「私本太平記」
...其奴っ」薩藩の白兵が...
吉川英治 「松のや露八」
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