...余は其の頃殆ど純正化学と応用化学との別を弁へず化学上の事柄は其の理論的たると応用的たるとに論なく均しき興味を以て之を学びたり...
池田菊苗 「「味の素」発明の動機」
...(其の頃漸く親しくなりかけた許りだつたが...
石川啄木 「我等の一團と彼」
...恰度其の頃内職に飜譯しかけてゐた或本の上に辷つて行つた...
石川啄木 「我等の一團と彼」
...『扨(さて)、其の頃、ヴエスヴイアスから遠くないメシナといふ港に、此の話しを伝へたプリニイの叔父さんが居た...
アンリイ・ファブル Jean-Henri Fabre 大杉栄、伊藤野枝訳 「科学の不思議」
...其の頃のこと、或日、日が暮れてもランプをつけてゐません...
稲垣巖 「父八雲を語る」
...だが其の頃、真弓さんがお母様の胎内にポッチリ宿っていたことについては風間君は知らなかったのです...
海野十三 「空中墳墓」
...其の頃にはそういう肖像彫刻は未だ珍しい時代であった...
高村光太郎 「回想録」
...線と色とが其の頃の人々の肌に躍った...
谷崎潤一郎 「刺青」
...其の頃藁店の勢は大したものです...
談洲楼燕枝(二代) 「燕枝芸談」
...其の頃私は○○商会の翻訳を受持っていたが...
豊島与志雄 「微笑」
...しかし兎に角其の頃には支那傳來のものゝ上に...
内藤湖南 「日本國民の文化的素質」
...わたしは其の頃から博文館が出版し出した帝国文庫をば第一巻の太閤記から引続いて熱心に読み耽っていた...
永井荷風 「花火」
...其の頃、私はパラオ民俗を知る為の一助にもと、民間俗信の神像や神祠などの模型を蒐集していた...
中島敦 「南島譚」
...それから今の東京府立第一中学――其の頃一ツ橋に在(あ)った――に入ったのであるが...
「私の経過した学生時代」
...隈本氏は其の頃、教師と生徒との中間位のところに居たように思う...
「私の経過した学生時代」
...其の頃も場所こそ違え同じ高円寺一丁目の家賃十六円の粗末な貸家を借りて...
西尾正 「陳情書」
...私は其の頃から知りました...
浜尾四郎 「悪魔の弟子」
...何分其の頃の文人は角力のことにつきて記録を留むる如きものが少ないのであつたから取りまとめた文献と云ふものに乏しいのである...
三木貞一 「初代谷風梶之助」
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