...頤(あご)に手を当てた其の瞬間だった...
海野十三 「空襲葬送曲」
...其の瞬間、法華僧は縁側へあがって往ったが、それは影の動くようでやがてぱっと消えてしまった...
田中貢太郎 「法華僧の怪異」
...其の瞬間の肉体美さえ十分に現れて居れば沢山なんだ...
谷崎潤一郎 「金色の死」
...自分は其の瞬間の感想を同じ車中の流水に吐露しやうと思つたのであるが...
永井荷風 「新歸朝者日記」
...其の瞬間に経験した奇異なる心況は殆(ほとんど)名状することの出来ないほど複雑なものであった...
永井荷風 「帝国劇場のオペラ」
...すまして春本や春画をかいていた其の瞬間の胸中をば呆れるよりは寧ろ尊敬しようと思立ったのである...
永井荷風 「花火」
...けれどもそれは全く其の瞬間だけのことである...
永井荷風 「春雨の夜」
...其の瞬間棒はぽくりと犬の頭部を撲った...
長塚節 「太十と其犬」
...しかし彼は其の瞬間さつと顔色を変へたが...
長與善郎 「青銅の基督」
...其の瞬間にはいろいろな感じが一度に襲って来て...
浜尾四郎 「彼が殺したか」
...其の瞬間からフィリップスもブライドも殆んど秒時も無電の傍を離れない...
牧逸馬 「運命のSOS」
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