...京都の市中で見る大原女より此八瀬大原で見る大原女の方がなつかしいやうに思はれる...
高濱虚子 「俳諧師」
...名代の八瀬大原(はせおおはら)の方へ行く途中のところにその岩倉村というのがある...
中里介山 「大菩薩峠」
...八瀬大原の方へと急ぎます...
中里介山 「大菩薩峠」
...此處までは二三日前に來たことがあつたから八瀬尾の近いことも分つて安心をした...
長塚節 「炭燒のむすめ」
...自分は既に八瀬尾の谷を辭する積りであつたがお秋さんが自分の爲めに特に醋酸曹達を造つて見せるといふ事であつたから一日延すことにしたのである...
長塚節 「炭燒のむすめ」
...家のさまは人を待つけしきにて庭には枝豆も作れりおもしろの八瀬の竈風呂いま焚かば庭なる芋も堀らせてむもの大原粽巻く笹のひろ葉を大原のふりにし郷は秋の日に干す寂光院途上鴨跖草の花のみだれに押しつけてあまたも干せる山の眞柴か寂光院あさ/\の佛のために伐りにけむ柴苑は淋し花なしにして堅田浮御堂小波のさや/\來よる葦村の花にもつかぬ夕蜻蛉かも廿九日...
長塚節 「長塚節歌集 中」
...棚引(たなび)く霞(かすみ)は長(とこ)しえに八瀬(やせ)の山里を封じて長閑(のどか)である...
夏目漱石 「虞美人草」
...「あれが大原女(おはらめ)なんだろう」「なに八瀬女(やせめ)だ」「八瀬女と云うのは聞いた事がないぜ」「なくっても八瀬の女に違ない...
夏目漱石 「虞美人草」
...わたしは一条大宮から八瀬(やせ)へ帰るものでござりますると云う処があったが...
林芙美子 「田舎がえり」
...仮令(たと)い巨万の富あるも先ず其家を八瀬大原にして...
福沢諭吉 「新女大学」
...つゝじ咲(さい)て石うつしたる嬉しさよ更衣(ころもがへ)八瀬(やせ)の里人ゆかしさよ顔白き子のうれしさよ枕蚊帳(まくらがや)五月雨(さつきあめ)大井越えたるかしこさよ夏川を越す嬉しさよ手に草履小鳥来る音嬉しさよ板庇(いたびさし)鋸(のこぎり)の音貧しさよ夜半の冬のごときこれなり...
正岡子規 「俳人蕪村」
...つゝじ咲て石うつしたる嬉しさよ更衣八瀬(やせ)の里人ゆかしさよ顔白き子のうれしさよ枕蚊帳五月雨の大井越えたるかしこさよ夏川を越す嬉しさよ手に草履小鳥来る音嬉しさよ板庇(いたびさし)鋸(のこぎり)の音貧しさよ夜半(よわ)の冬の如きこれなり...
正岡子規 「俳人蕪村」
...八瀬小原辺にて甚幽邃なる山上に御座候...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...第五は斎が八瀬小原の狂歌を見せようとした皆川である...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...次第に水源を尋ねて八瀬(やせ)・大原の奥のような...
柳田國男 「地名の研究」
...八瀬(やせ)へ降りては追いこまれる...
吉川英治 「親鸞」
...行きたやな八瀬(やせ)の燈(ともし)の夕ざれば呼ぶよ招(まね)くよ逢いたやな江口の舟の君しおもえばよぶよ招くよ行(ゆ)いて何問わん会うて何いわん否とよものも得いわずただ寝(いね)ましを秋は長々し夜を冬は戸ざして春は眸(ひとみ)も溶(と)くる夏は黒髪のねばきまで世を外にただ寝(いね)ましものを「あはははッ...
吉川英治 「親鸞」
...八瀬牛(やせうし)の真っ黒な毛なみの背がもりあがった...
吉川英治 「親鸞」
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