...全篇の中でも恐らくは最も落付かないものである...
阿部次郎 「合本三太郎の日記の後に」
...況して全篇を通じて呼吸の一致を感じ通すことなどは殆んどない...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...全篇悲惨の調を帯び悲哀惨憺たる記事を以て満たさる...
高木敏雄 「比較神話学」
...哀愁が心の全篇を貫いているところは文学的に相当の価値を認めてよい...
谷崎潤一郎 「三人法師」
...技巧でない生気が全篇に漲つてゐるといつて好い...
田山録弥 「J. K. Huys Mans の小説」
...誇張して言えば全篇が挿話の連続であり...
チャールズ・ディッケンズ 佐々木直次郎訳 「二都物語」
...全篇の梗概を知了した上は...
土井晩翠 「「イーリアス」例言」
...興味の上において全篇を貫く重みのあるものは論外であるが...
夏目漱石 「作物の批評」
...然し所々に寫生的の分子多きために不自然を一寸忘れさせるが手際なり)虚子曰く狐の話面白し全篇あの調子で行けばえらいものなり(漱石曰く全篇大概はあの調子なり)要するに虚子は寫生文としては寫生足らず...
夏目漱石 「鈴木三重吉宛書簡―明治三十九年」
...そういう意氣のところばかしで全篇を通しているのだから...
平山蘆江 「大菩薩峠芝居話」
...全篇を通じて驚嘆の調子をもつて...
牧野信一 「風媒結婚」
...「踊子」中の季節推移の美しさはよく全篇の卑猥の物語を救つて余りあるもの...
正岡容 「浅草燈籠」
...全篇がその五月にもたれた「ナップ」第三回大会報告となっている...
宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第十巻)」
...コンポジションは全篇の大体をこしらえておく必要があるので...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...それは全篇を通じて流れて居り...
矢内原忠雄 「読書と著書」
...精神異常者でなければトテモ書けないと思われるような気味の悪い妖気が全篇に横溢(おういつ)しております...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...全篇を纏(まと)めるにあたって...
横光利一 「上海」
...太平記の全篇はまさに悲歌そのものだ...
吉川英治 「随筆 私本太平記」
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