...ぼくの家は半潰で済んだが、近所には全潰、赤ちゃんを抱いたまま、ぼくの友人の母親が圧死するなぞ、夥(おび)ただしい死者が出て、大揺れの済んだ後、長兄は近くの男たちとその死体発掘作業に従い、ぼくより健康で利発な三ツ上の姉なぞ、その模様を見物にでかけたりしていたが、ぼくは裏の広場に敷かれた戸板に腹這い、未だに現実の世界の鳴動するのを感じながらも、ひとりでまた博文館の長篇講談に読み耽っていた...
田中英光 「さようなら」
...其さえ時々急ぎの謄写物(とうしゃもの)など吩咐(いいつか)って全潰(まるつぶれ)になる...
二葉亭四迷 「平凡」
...弥(いよいよ)移居(ひっこし)を始めてこれに一朝(ひとあさ)全潰(まるつぶ)れ...
ガールシン 二葉亭四迷訳 「四日間」
...惨澹たる魏の敗北に始まって全潰状態に終り...
吉川英治 「三国志」
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