...』やがて古(ふる)い古(ふる)い杉(すぎ)木立(こだち)がぎっしりと全山(ぜんざん)を蔽(おお)いつくして...
浅野和三郎 「霊界通信 小桜姫物語」
...そして後にはまた一陣の強風がザワザワと全山の梢をひとしきり騒がせて立ち去った後には...
橘外男 「逗子物語」
...雲と霧とが濛々(もうもう)として全山をこめた時...
中里介山 「大菩薩峠」
...本当は北海道の全山野はものの数でなく...
中谷宇吉郎 「雪三題」
...それが段々に重(かさな)って昔の複葉(ふくよう)飛行機のような形をしたものなどが全山を埋(うず)め尽くすようなことも稀(まれ)ではなかった...
中谷宇吉郎 「雪を作る話」
...花見手拭(てぬぐひ)を襟に卷いて、早くも散り始めた櫻吹雪の中で、差す手、引く手、いとも鮮(あざや)かに踊るお仙の十八姿が、全山の見物を、夢中にさしたのも無理のないことでした...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...三宅島では山へ行くと全山まるで野生の木覆盆子ばかりで高さは二丈位に生長し...
村井弦斎 「食道楽」
...全山にひびくおばさんの聲は絶えることがなかつた...
室生犀星 「京洛日記」
...全山を水晶宮(きゆう)とし其れに五彩の珠玉を綴つたとも謂(い)ふべき壮観であつた...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...比較的余裕のある生活をしてゐる資源は全山の薪材の豊富な事であるが...
與謝野寛・與謝野晶子 「満蒙遊記」
...小仏全山の緑翠(りょくすい)をかしらにあつめ...
吉川英治 「江戸三国志」
...宇宙も大地もヒッソリとしたうちに静かな夜霧の幕が全山をつつんで来る...
吉川英治 「江戸三国志」
...全山に十万の兵あれば...
吉川英治 「三国志」
...(――全山を取り詰め...
吉川英治 「新書太閤記」
...峨々(がが)たる岩山で、全山、松の木が多い...
吉川英治 「新書太閤記」
...これを全山に布告して...
吉川英治 「新・水滸伝」
...全山の賊将をよびあつめた...
吉川英治 「新・水滸伝」
...「これ以上は、おひきとめもなりますまい」最後の大饗宴をひらいて、莫大な金銀を餞別(はなむけ)に贈り、翌朝、全山を挙げて、いよいよ彼を送別することになった...
吉川英治 「新・水滸伝」
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