...全体の調子は、もう全く枯れ切った雑草や灌木の、黒ずんだ褐色である...
石川欣一 「可愛い山」
...手の甲にはやっぱり同じ様な傷痕らしいものが見え、太くたくましき指の恰好から、全体の調子が、昨夜の印象と少しも違わないのです...
江戸川乱歩 「湖畔亭事件」
...のみならずこの句全体の調子からしても...
高浜虚子 「俳句の作りよう」
...そして、全体の調子は、『淡雪』『生あらば』に比して、わるくすれて、無邪気な落附いたところが段々なくなつて行つてゐるやうなのを私は見た...
田山録弥 「自他の融合」
...人々はただ全体の調子を不快に思った...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...その全体の調子に...
豊島与志雄 「別れの辞」
...その彩色は殊更に絢爛(けんらん)たらん事を務め全体の調子に注意する処なし...
永井荷風 「江戸芸術論」
...写真は今までも度々撮られて来たのであるが、写真には傷痕の方が印象強く写るのと、全体の調子が、乾板では濃淡(コントラスト)が薄く出るようなものであるために、どうしてもこの色の鮮かさの感じが出ないのである...
中谷宇吉郎 「壁画摸写」
...しかも全体の調子が如何にも白鳳以来の歳月の積りを思わせるように出来ていた...
中谷宇吉郎 「壁画摸写」
...全体の調子を明るくしてくれたことは争い難く...
野村胡堂 「捕物小説のむずかしさ」
...『レトワール紙』の提言の全体の調子が...
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「マリー・ロジェエの怪事件」
...全体の調子を取る為めに上に述べた眼下...
堀口九萬一 「東西ほくろ考」
...ただ歌全体の調子において曙覧はついに『万葉』に及ばず...
正岡子規 「曙覧の歌」
...全体の調子といい――ねえ...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「幸福への意志」
...体全体の調子がぐっとましになって...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...ただ富田の笑う声がおりおり全体の調子を破って高くなる...
森鴎外 「独身」
...組犬全体の調子がめきめき活気づいてきた...
ジャック・ロンドン Jack London 山本政喜訳 「荒野の呼び声」
...静かで淡い全体の調子も...
和辻哲郎 「院展日本画所感」
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