...兎に角わかつてはゐたのだつた...
芥川龍之介 「お富の貞操」
...そばへ行つて、「兎に角、ねえ、奧さん、これから大野君の家へ行つて、あいつによく以後こんなことをしないやうに話して貰ふつもりですから...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...それは兎に角、これで芝山宇平と小林トメとの秘密な情交関係が分ってしまった...
海野十三 「地獄の使者」
...兎に角小文さんは西行庵の茶室で茶を立てたり...
薄田泣菫 「茶話」
...兎に角、私達は峠を下りて、磯の近くにある渡船場の方へと行つた...
田山録弥 「ある日」
...兎に角やつて見やう』かう言つて机にかじりつくやうにして本を読んだり筆を執つたりして来た...
田山録弥 「小説新論」
...何でも構はない、兎に角、本当に見たものを書く...
田山録弥 「小説新論」
...古い型のモオニングの上衣(うはぎ)は兎に角...
徳田秋声 「町の踊り場」
...「イワン君は兎に角これでお暇乞ですね...
ドストエウスキー Fyodor Mikhailovich Dostoevski 森林太郎訳 「鰐」
...兎に角ああいう話を僕や君が詳しく知ってるということは...
豊島与志雄 「反抗」
...兎に角、兵粮丸の祕密を守る爲には、随分一藩の運命を賭けたこともある位ですから、封建時代に、人間を二三人殺すことを、何とも思はない野心家があつたことも不思議はないのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...同じニセ首でも、こちとらのやうなのだと、いきなり縛り上げて拷問(がうもん)にかけられる」ガラツ八の話は遊び澤山で、要領から遠くなるばかりですが、兎に角、千五百石取の大身の一人娘が、祝言の前の晩、一夜のうちに摺(す)り替へられてゐたことだけは間違ひありません...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...兎に角行つて見よう...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...ま、兎に角、俺の留守には、支那蕎麦(そば)の十杯も食べて呑気に待っていなさい...
林芙美子 「泣虫小僧」
...科りの目は兎に角勘定しらずの若い者など...
樋口一葉 「たけくらべ」
...兎に角素直に発音に從つて作つたものでない...
森鴎外 「假名遣意見」
...兎に角この頭の上で...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...路に迷ったのは兎に角として蒲田や福地温泉の現状すら知らずにいた此老爺は或はもう老耄し果てているのではあるまいかと心中ひそかに不審と憤りとを覚えていたのであったが...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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