...私がその町に住まい始めた頃働いていた克明な門徒の婆さんが病室の世話をしていた...
有島武郎 「小さき者へ」
...加賀産れで丸々と克明な門徒のばアやがもご/\云ひながら挨拶すると...
有島武郎 「半日」
...克明な巡査は、夜が明けると、態々(わざ/\)芳賀氏の玄関まで罰金を受取りに出掛けて往つた...
薄田泣菫 「茶話」
...この身びいきからして突然ひき起された克明な興味を以て...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...彼の顔はすぐに老人らしい克明な生真面目さをとりもどし...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...克明な姿(なり)をして...
徳田秋声 「足迹」
...この克明な口上書の裏には...
徳永直 「光をかかぐる人々」
...克明な印刷費内譯を書いた氣持には...
徳永直 「光をかかぐる人々」
...なんでも、その時の話に、おでんという女(ひと)は伝法(でんぽう)な毒婦じゃなくって、野暮(やぼ)な、克明な女だから、そういうふうに演(や)るっていったことだが――そうかも知れないね...
長谷川時雨 「市川九女八」
...気質が察しられるような克明な文字でキチンと書きこまれてある...
久生十蘭 「青髯二百八十三人の妻」
...糞落着きにおちついてトングとスプーンを使って毛彫細工のような克明な仕事をやりはじめた...
久生十蘭 「南部の鼻曲り」
...僕もこれで克明な男だから...
久生十蘭 「魔都」
...刻むような克明な文字を書きつけて行く...
久生十蘭 「魔都」
...露に濡れた葡萄の房が朝の空の中で克明な陰影を振りかざし...
横光利一 「妻」
...辞句も不明だし、諸所に、克明な筆で、塗りつぶしたり、書入れがしてある...
吉川英治 「三国志」
...西郷札は素材の要意も克明な手がたい作品であったと記憶する...
吉川英治 「随筆 新平家」
...実に克明な丹精と辛抱が要(い)るのだった...
吉川英治 「宮本武蔵」
...ひとの克明な記憶には...
吉川英治 「忘れ残りの記」
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