...できないことはないとは思うけれど……僕は先天的にそういう資格がないんだからねえ」「そんなことはないさ」「でもねえ……」「弱いことを言うもんじゃないよ」「君のようだといいけれど……」「僕がどうしたッていうんだ?」「僕は君などと違ってラヴなどのできる柄(がら)じゃないからな」清三は郁治をいろいろに慰(なぐさ)めた...
田山花袋 「田舎教師」
...先天的に欠陥のない自分の肉体に確信が出来たと同時に...
徳田秋声 「あらくれ」
...子供は先天的に、胃腸の弱い父親の素質を受け継いでいるように思えた...
徳田秋声 「黴」
...現在――従って云わば先天的に――どうして証明するか...
戸坂潤 「イデオロギーの論理学」
...吾々は先天的に之を説明し得なければならない...
戸坂潤 「エマヌエル・カント『自然哲学原理』解説」
...夫は凡そ言論という観念にはつきものの先天的に見出されるただの名目上の自由に他ならないのであって...
戸坂潤 「世界の一環としての日本」
...先天的に怒るのであります...
中里介山 「大菩薩峠」
...先天的に忍術を心得ているのだろう...
中里介山 「大菩薩峠」
...ことに、人が幾人ふえようとも、先天的に、話相手というものの見出せない不具な少年にとっては、かえってこの台所の城廓が、安住所でもあり、避難所でもあり、事務所でもあり、読書室でもあって、甘んじてここに納まって、職務以外の悠々自適を試みているというわけです...
中里介山 「大菩薩峠」
...神尾のはわざとあざ笑うわけではなく、本来、薩摩の陪臣としての西郷などを、眼中に置いていないのですから、先天的に、鼻の先であしらい得るように生れついているのです...
中里介山 「大菩薩峠」
...先天的に音楽を好まない...
萩原朔太郎 「詩の原理」
...先天的にそれを惡むのだ...
萩原朔太郎 「室生犀星に與ふ」
...葵は先天的に夫をもっていた...
久生十蘭 「金狼」
...先天的に存在する美の標準なるものあるなし...
正岡子規 「俳諧大要」
...もし先天的に存在する美の標準(あるいは正鵠(せいこく)を得たる美の標準)ありとするも...
正岡子規 「俳諧大要」
...先天的に貧寒な悪い境遇に置かれた人をケイベツする事と同様に同程度に...
三好十郎 「恐怖の季節」
...先天的に淫(みだ)らにできていたんじゃ...
吉川英治 「かんかん虫は唄う」
...先天的に矮小(わいしょう)だし...
吉川英治 「新書太閤記」
便利!手書き漢字入力検索