...一人は挙人老爺の先々代に滞っていた古い地租の追徴であった...
魯迅 井上紅梅訳 「阿Q正伝」
...この寺の先々住の日照というが椿岳の岳母榎本氏の出であったので...
内田魯庵 「淡島椿岳」
...行先々(ゆくさきざき)の道場荒し...
江見水蔭 「怪異黒姫おろし」
...派出婦になれば行った先々で折々主人に挑(いど)まれた...
永井荷風 「ひかげの花」
...伊勢詣りとわかれば箱根の關所もやかましいことは言はず、先々の宿も舟も、何彼と便宜(べんぎ)を與へてくれる世の中だつたのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...お夏は先々代の姪の子なんかぢやなくて...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...ファッション・モデルのことなんかも……」行く先々で待伏せをしたり...
久生十蘭 「あなたも私も」
...すると何が出てきたと思う? 先々代の遺書だよ...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「煉獄」
...ものゝ象(すがた)の変り模様とても知らぬ唐松の根元に立つた私とその先々代の間に挟まれた時の流れなどは...
牧野信一 「剥製」
...行く先々の楽屋中へ漂ってきた...
正岡容 「寄席」
...細川三齋は參覲交替の旅中にも行く先々の宿場の庭にこの石燈籠を建てて眺め...
室生犀星 「京洛日記」
...愛媛県温泉郡久米村高井)どうして旅の僧が行く先々に...
柳田國男 「日本の伝説」
...博多の町中、行く先々、右も左も虱(しらみ)の卵生み付けたゴト不義理な借銭ばっかり...
夢野久作 「近世快人伝」
...「きっと身受けして本妻に」と行く先々で嬉しがらせる金鎖……...
夢野久作 「鼻の表現」
...尊氏の兵力は行く先々においてある...
吉川英治 「私本太平記」
...行く先々で、地獄ゆきの落人(おちゅうど)ばかりに行き会う...
吉川英治 「宮本武蔵」
...こよいは仕方がないが、この先々では、もう道ぐさはしておられぬぞ」兵庫は、自分を誡(いまし)めていう...
吉川英治 「宮本武蔵」
...しかしそれは行く先々の王侯や仏徒の好意によって続け得た旅行なのである...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
便利!手書き漢字入力検索