...そこには優しい喜びがあった...
芥川龍之介 「路上」
...優しい伯母かなんぞの樣に心を牽引(ひきつ)ける...
石川啄木 「札幌」
...でね、此を聞くと、人の好(い)い、気の優しい、哥太寛の御新姐(ごしんぞ)が、おゝ、と云つて、袖(そで)を開(ひら)く……主人もはた、と手を拍(う)つて、」とて、夫人は椅子なる袖に寄せた、白鞘(しらさや)を軽く圧(おさ)へながら、「先刻(せんこく)より御覧に入れた、此なる剣(つるぎ)、と哥太寛の云つたのが、――卓子(テエブル)の上に置いた、蝋塗(ろうぬり)、鮫鞘巻(さめざやまき)、縁頭(ふちがしら)、目貫(めぬき)も揃(そろ)つて、金銀造りの脇差(わきざし)なんです――此の日本の剣(つるぎ)と一所(いっしょ)に、泯汰脳(ミンダネオ)の土蛮(どばん)が船に積んで、売りに参つた日本人を、三年前(さき)に買取(かいと)つて、現に下僕(かぼく)として使ひまする...
泉鏡花 「印度更紗」
...優しい言葉で呉れたのださうです...
犬養健 「亜剌比亜人エルアフイ」
...どんなことにも驚かないような優しい浅井の目は...
徳田秋声 「爛」
...それに顔立に優しい可愛らしいところがあって...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...そんな生優しいことでは無い...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...輪になった帯の間から根性に似合わない優しい顔が眠っていた...
葉山嘉樹 「乳色の靄」
...抱き上げられたりしたことがないほど優しいのだ...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...あの優しい喜びと共鳴の態度なのであった...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「トリスタン」
...彈力のある紙は大いそぎで優しい薄桃色の線を綾に亂して伏せていつた...
水野仙子 「響」
...姉らしい憂いに満ちた優しい気持で...
宮本百合子 「悲しめる心」
...三つの池のある淋しい優しい風景だったところ...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...優しい橘は父に向って快いほほ笑みをうかべて見せ...
室生犀星 「姫たちばな」
...)その優しい、美しい光を出しているのはなんだ...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...優しい愛の悪口をつぶやいたのでもなくて...
ジャック・ロンドン Jack London 山本政喜訳 「荒野の呼び声」
...優しいのや厳(いか)めしいのが見ているうちに出来てくるその面白さ……...
夢野久作 「押絵の奇蹟」
...もっと、強ければ強いほど、傑出していればいるほど、優しいもの、ゆかしいもの、また、もののあわれを知っているもの……...
吉川英治 「宮本武蔵」
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