...同時にこの貴族的文學が傲然として最高最良の藝術を以つて自ら居る僭上を見た...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...座敷方(ざしきがた)の僭上(せんじょう)...
泉鏡花 「霰ふる」
...武士に向って僭上(せんじょう)至極!」「斬って捨てるぞ!」二人の悪ざむらいは...
中里介山 「大菩薩峠」
...ずいぶん僭上(せんじょう)な呼び方かも知れませんが...
中里介山 「大菩薩峠」
...何か力あって、この女性を後ろから嗾(けしか)けるもののように、「承知いたしました、わたくしは、あなた様のお申出でを、このまま素直にお受入れ致します」「うむ――」と言って、駒井甚三郎が、その足を大地に踏みこたえるように立て直して、「有難い――よく承知をしてくれました、今晩から、あなたは、わたしの妻です」「かような、これより以上の大事はないお申出でを、そのまま、この場でお受けする気持になった、わたくしというものの我儘(わがまま)をおゆるし下さい、わたくしは自分で、もう自分のことがわかりませぬ、無条件で、なんでもかでもあなた様のお申出でに従うよりほかに道がないことを犇(ひし)と身にこたえました、本来ならば、充分に考えさせていただいて、せめて今夜一晩なりとも、静かに考えさせていただいてから、最後の御返事をしなければならないのに、それをしないで、この場で、こんなに手軽く仰せに従う、わたくしというものの軽佻(かるはずみ)を定めてお心の中ではおさげすみになっていらっしゃるかと存じますが、わたくしは、もうさげすまれようが、賤(いや)しまれようが、左様なことを考えている余裕はないのでございます、今晩一晩考えさせていただいたに致しましても、明晩、明後日、一生涯考えてみましたとても、このお返事は考えてはできません、それ故に、この場で、あなたのお心に従います――それが、僭上であるか、男女の道に外れているか、いないか、世間態のために、あるべきことか、なかるべきことか、そんなことも、以前のわたくしならば、充分に考えている余裕がありましたでしょうが、今のわたくしにはそれがありません、あなた様が、当然のこととして、それをお申し出でになったように、わたくしも当然のこととして、それをお受入れ致します、誰が何と言っても、もはや怖れません、誰に対して済まないことになるか、済むことになるか、そんなことも一切はここで忘れ去ってしまっております、この、はしたない、慎しみのない女を、お憐(あわれ)み下さいませ」畢生(ひっせい)の力を振(ふる)って、こう言ったお松の舌は雄弁でした...
中里介山 「大菩薩峠」
...毛布と称するのはもはや僭上(せんじょう)の沙汰であって...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...少し僭上(せんじやう)らしく見えます...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...忽ち僭上沙汰でおとがめの口實になるでせう...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...金持ちの町人の奢(おご)り僭上(せんじやう)も相當で...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...ただしは僭上なる字を知らぬ人がたまたま千石少弐の行いを見聞して僭上を千少と曲解したのか...
南方熊楠 「十二支考」
...すこし僭上でしょうか...
夢野久作 「スランプ」
...ふたつには袁紹が帝位をのぞむ僭上(せんじょう)を懲らし...
吉川英治 「三国志」
...僭上(せんじょう)の罪かろからずと...
吉川英治 「三国志」
...その眼(まな)ざしは」「僭上ですが...
吉川英治 「私本太平記」
...その僭上は、おゆるしのほどを」「なんの、軍事も諸政もすべてを捨てた恭順(きょうじゅん)の身...
吉川英治 「私本太平記」
...僭上などと日ごろの行儀(ぎょうぎ)は...
吉川英治 「私本太平記」
...僭上(せんじょう)至極...
吉川英治 「新書太閤記」
...また要(い)らざる僭上(せんじょう)沙汰と...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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