...私の分を越えた僭越な独断が甚だ多いのは十分承知しており...
石原莞爾 「最終戦争論」
...今日でこそ有閑(ゆうかん)婦人の贅沢はさまで珍しくないようなものの昔は男子でもそうは行かぬ裕福(ゆうふく)な家でも堅儀(かたぎ)な旧家ほど衣食住の奢(おご)りを慎(つつし)み僭上(せんしょう)の誹(そしり)を受けないようにし成り上り者に伍(ご)するのを嫌(きら)った春琴に奢侈(しゃし)を許したのは外(ほか)に楽しみのない不具の身を憐れんだ親の情であったのだが...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...僭越だが、灰を一目見ただけで、葉巻や煙草ならどんな銘柄でも言い当てることができる...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 大久保ゆう訳 「緋のエチュード」
...限られた面で見透すことは僭越だ...
戸坂潤 「現代日本の思想対立」
...鶴峯氏は邪馬臺は襲人の僭稱にて...
内藤湖南 「卑彌呼考」
...大ビラで贅沢(ぜいたく)や僭上(せんじょう)の限りを尽しました...
中里介山 「大菩薩峠」
...堕落僭上(だらくせんじょう)の沙汰があるので...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...妹の部屋を見上げるなどは僭越至極...
久生十蘭 「うすゆき抄」
...初めから僭越・虚妄として斥けるべきである...
デイビッド・ヒューム David Hume 井上基志訳 「人間本性論(人性論)」
...僭上は身分不相応な上わぞりをする義で古来この語あり...
南方熊楠 「十二支考」
...或る程度までは、自然というか或いは自然律と人間との相互的関係とでもいうべきものがゆるやかで、人間の僭望、また下慾があまやかされて来た...
宮本百合子 「男…は疲れている」
...然るに借家ずまいをしていて鶏を飼うなんぞというのは僭越(せんえつ)もまた甚(はなはだ)しい...
森鴎外 「鶏」
...僭越(せんえつ)ながら念のため言上つかまつります」そして...
山本周五郎 「思い違い物語」
...老君、予の玉璽(ぎょくじ)を返さず、帝位を僭して、さらに世を紊(みだ)す...
吉川英治 「三国志」
...魏の僭位(せんい)は...
吉川英治 「三国志」
...さような僭上(せんじょう)ではございません...
吉川英治 「私本太平記」
...「僭越(せんえつ)ではありますが……」と...
吉川英治 「新書太閤記」
...「不徳の人間を社会より放逐せよ」と言うと僭越だとてお目玉を頂戴する...
和辻哲郎 「霊的本能主義」
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