...几董輩(きとうはい)の丈艸(ぢやうさう)を嗤(わら)つてゐるのは僣越(せんゑつ)も亦(また)甚しいと思ふ...
芥川龍之介 「澄江堂雑記」
...在野の主張はみだりに天皇の御名をもってしたことを僣上とし...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...これは僣上の沙汰です...
相馬愛蔵 「私の小売商道」
...私などは僣越にも日本の思潮が根柢から変つたなどゝ思つた...
田山録弥 「雨の日に」
...これほど無意味な僣越な無知な言葉はあるまいと私は思ふ...
田山録弥 「現代と旋廻軸」
...また僣越にも私が何人かに困難と思われるであろう一切のことがらを予見し得ると私は確信しないのであるからして...
デカルト Renati Des-Cartes 三木清訳 「省察」
...105年まだ若き彼の子ら驕慢にして信を缺く――その僣越のわざによりヂュウスの誓破ること無からんためぞ――年少の心は常に定らず...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...まだ見ないのだが多分今度の杉村「博士」の論文は決して遜色あるものではなかろうと僣越ながら推測されるのである...
戸坂潤 「社会時評」
...推しなべて――機械論的であろうと弁証法を僣するものであろうと――解釈の哲学に他ならぬのである...
戸坂潤 「日本イデオロギー論」
...われわれ一同なんて僣越なことはよしてもらおう』だが...
ドストエーフスキイ 米川正夫訳 「地下生活者の手記」
...近頃清元※の藝人奢侈僣上の沙汰折耳にするにより追清元はやめにするつもりなり...
永井荷風 「断腸亭日乗」
...遂に六月二十二日北御番所のお白洲(しらす)にて役者海老蔵事(こと)身分を弁(わきま)えず奢侈僣上(しゃしせんじょう)の趣(おもむき)不届至極(ふとどきしごく)とあって...
永井荷風 「散柳窓夕栄」
...ディオニュシウスは卑賤から身を起し、下層階級者に支持されて強力な軍隊を組織し、ギリシア人をシチリア(シケリア)から駆逐して、自ら僣主となり、シラクーザ(シュラクサイ)を中心として大いに武威を振るい、王としては猜疑心が強く、無理な政治はしたけれども、一面に於いては文化の保護者であり、彼自身相当にすぐれた詩才の所有者で、悲劇作者でもあった...
野上豊一郎 「エトナ」
...きのふ賜はりし大詔の上からも畏けれどかゝることまで思い浮べて僣上の沙汰ながらひそかに主上の御感懷をしのび奉つた...
羽田亨 「賢所御神樂の儀」
...「僣称を咎めるより...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...あの僣上(せんじょう)な忠義ぶった面の皮を...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...此の微笑の中で讀んだところで僣越でもなからう」...
吉江喬松 「山岳美觀」
...今日においては非常に僣越だと思ふのである...
吉川英治 「折々の記」
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