...)然しながら縦令(たとひ)俗物(ぞくぶつ)に渇仰(かつがう)せらるといへども路傍(みちばた)の道祖神(だうろくじん)の如く渇仰(かつがう)せらるにあらす...
三文字屋金平 「為文学者経」
...傍で猿沢夫人が、大きなあくびをしながら、うんざりしたような声を出しました...
梅崎春生 「Sの背中」
...路傍(みちばた)のこけら葺(ぶき)の汚ないだるま屋の二階の屋根に...
田山花袋 「田舎教師」
...妙な事にはこの汚い床の上に打倒れてうめいている自分とは別にまた自分があって倒れている自分を冷やかに傍観しているような気がした事であった...
寺田寅彦 「病中記」
...小さい薄縁(うすべり)を敷いてある火鉢の傍で...
徳田秋声 「黴」
...冬が來れば暖爐の傍(かたはら)から暗い日の過ぎ行くのを悲し氣に見送るのであらう...
永井荷風 「新歸朝者日記」
...冷靜な眼で傍見すると不安に堪へないことが多い...
長塚節 「記憶のまゝ」
...襯衣一枚の見苦しい姿ながら囲炉裏(いろり)の傍(そば)へ行って...
夏目漱石 「坑夫」
...強(た)つて傍近く召使ひ度いと人橋を架(か)けて執拗(しつ)こく申込んだ上...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...日頃こうして自分の傍を離れずに長精進なども共にして頼もしげに見える此道綱が...
堀辰雄 「かげろうの日記」
...他の樹立のかげになりながら一本の山茶花がいくつかの目立たないやうな花をこつそり簇がらせてゐるのだつた……それから私がそのジユリイの墓の傍らに落ちてゐるその小さな莟を指さして...
堀辰雄 「生者と死者」
...野兎の種の特徴としてあるまじきことを宣言し家犬えの非合法な脱獄が野兎からの合法的な脱獄だとしゃれこんだだが野兎は芸術を持っている!月日がたち殺されたゞけの真率な野兎は傷づけられたみづかきをいたわりあいながら昔の家え帰ってきた野兎は小さいいろりの傍で...
槇村浩 「野兎の歌」
...間で一二度温室を見に行ったきり順二郎はずっと傍で...
「海流」
...所があの森の傍を控目に光る7825小さい火が通っているな...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...龍子の傍近くに居られるということだけでも...
矢田津世子 「※[#「やまいだれ+句」、第4水準2-81-44]女抄録」
...炉の傍へは近よらない...
横光利一 「夜の靴」
...してそれから何と致しましたな」「まア聞かれい……」虚無僧は傍らの切株へ腰を落し...
吉川英治 「剣難女難」
...「――おッしょう様あっ」傍らの林の中で...
吉川英治 「宮本武蔵」
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