...私の座席の向ふ側に春挙さんが偶然にも乗り合はせてゐられました...
上村松園 「旧い記憶を辿つて」
...そのために学問の独立を偶然にも小野梓君というえらい熱心な人その他の諸君賛成されたから...
大隈重信 「学問の独立と東京専門学校の創立」
...新島君の死後同志社も一時紛紜(ふんうん)のために頗(すこぶ)る悲況に陥ったが明治二十九年我輩が再び外務大臣になった時にまた偶然にもその処置調停に関係する事となり...
大隈重信 「新島先生を憶う」
...和合(コンコード)の間と食堂との間の通路の処々方々に偶然にもみんなぶらぶらしていたのであった...
チャールズ・ディッケンズ 佐々木直次郎訳 「二都物語」
...同様に現在の函館の場合においても偶然にも運悪くこの条件が具備していたために歴史的な大火災ができあがったに相違ないのである...
寺田寅彦 「函館の大火について」
...自分は呆然として却て物珍らしく彼方此方(かなたこなた)を眺めながら歩いて行くと偶然にも向うから來掛る宇田流水に出會つた...
永井荷風 「新歸朝者日記」
...偶然にも――実は偶然でもなんでもなく...
中里介山 「大菩薩峠」
...その時また偶然にも継子の方に滑(すべ)り込みつつあった...
夏目漱石 「明暗」
...偶然にもピレウスに寄港することになったので...
野上豊一郎 「パルテノン」
...祖母上と道子――偶然にも一緒の日に誕生なので祝って上げる...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...「おやまあ、偶然にも、あれは伯爵夫人だ...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「王冠の重み」
...それが偶然にも土佐国高知の城主松平土佐守豊資(とよすけ)の家であった...
森鴎外 「渋江抽斎」
...わたしは偶然にもそれらがいろいろな哲学上の理論や実例に酷似しているのを知って...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...私の長兄が偶然にも下総に永住するようになったのも...
柳田国男 「故郷七十年」
...偶然にも飲食法則の解放を促したのである...
柳田国男 「木綿以前の事」
...その稀れなものが、しかも武蔵の作品中、第一の傑作といわれる「枯木鳴鵙図」を、偶然にも、自分の宅へ持込んで来たはなしがある...
吉川英治 「随筆 宮本武蔵」
...偶然にも脳波が一致しているに違いない...
蘭郁二郎 「脳波操縦士」
...倒れて来た向こう側の家の屋根へ偶然にもうまく飛びのって...
和辻哲郎 「地異印象記」
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