...況(いは)んや「屋上の鳩」の語は「手中の雀」と云へる語を俟(ま)ツて意味あるものに於てをや...
石橋忍月 「舞姫」
...雨霧の鎮(しず)まるを俟(ま)てども...
鵜殿正雄 「穂高岳槍ヶ岳縦走記」
...自分はきっと天寿(てんじゅ)を俟(ま)つ迄もなく殺害(さつがい)せられてしまうに決っていると確信しているのだから...
海野十三 「電気看板の神経」
...茲(こゝ)に図(づ)を挙(あげ)て弄石家(ろうせきか)の鑒(かん)を俟(まつ)...
京山人百樹刪定 「北越雪譜」
...あえて依頼を俟(ま)たずとも急遽一読すべく充分以上に親切である...
谷譲次 「踊る地平線」
...老人に取って孰方(どっち)が餘計残酷であるかは言を俟(ま)たない...
谷崎潤一郎 「少将滋幹の母」
...又は接触を俟たずに作用し得るか...
戸坂潤 「エマヌエル・カント『自然哲学原理』解説」
...歴史的因果関係の指摘は「歴史家の判断」に俟たなければならない(E. Meyer, 前掲書 S. 47―50 参照)...
戸坂潤 「科学方法論」
...実は特別の議論を俟つまでもなく...
戸坂潤 「科学論」
...斯くして試驗場と製鋼部と相俟つて材料の研究をしました...
豊田喜一郎 「準備は出來たトヨタは邁進します」
...絶対の力を俟つてこそ得られるのであつて自力をばかり恃んで...
中原中也 「詩壇への願ひ」
...朱紫国王の皇后と聞けば無論三国に随一の美女であることは言を俟たない...
牧野信一 「闘戦勝仏」
...武州は高尾道なる或神社の奉納額に、抒自等抒自奈良努家宇良太(どぢとどぢならぬけうらだ)」も亦、同系列の微笑ましい実話たること、論を俟たない...
正岡容 「東京万花鏡」
...元来人の五官の中にて視官と嗅官とを比較すれば視官の刺撃せらるる事多きは論を俟(ま)たず...
正岡子規 「墨汁一滴」
...なぜなら私がそれについて表象する性質は悉く此背景を俟つて可能なのであつて背景そのものではないから...
三木清 「人生論ノート」
...酒でも買つて俟(ま)つて居てくれ」と立上らうとする...
三木竹二 「いがみの権太」
...酥乳(そにゅう)の粥(かゆ)を各八器に盛って俟(ま)て...
南方熊楠 「十二支考」
...君命も俟(ま)たない場合がある...
吉川英治 「三国志」
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