...四十六彼の姉の夫の自殺は俄かに彼を打ちのめした...
芥川龍之介 「或阿呆の一生」
...北上川の水音が俄かに近くなつた...
石川啄木 「鳥影」
...俄かに荒れはてた樣な氣がする...
石川啄木 「鳥影」
...俄かに人の立ち騒ぐ声が聞えた...
海野十三 「恐怖の口笛」
...俄かに歩調をゆるめた...
海野十三 「地獄の使者」
...僕は俄かに空腹を感じた...
海野十三 「深夜の市長」
...盤古神話もまた、世界大拡布神話の一としてその印度起原説は、一個の仮定説として、固より俄かに、之を排斥す可きに非ず...
高木敏雄 「比較神話学」
...俄かに物蔭よりおどり出でたる人のさまにて...
谷崎潤一郎 「二人の稚児」
...俄かに吹雪になつて...
田山録弥 「田舎からの手紙」
...群衆は俄かに活気づいて...
原民喜 「溺死・火事・スプーン」
...時次郎は、俄かに、言葉をうしない、首を深くたれて、うつむいた...
火野葦平 「花と龍」
...俄かに慌てゝ船と交際を始めた...
牧野信一 「不思議な船」
...だからみんな仲よくしてブルジヨアをやつゝけるんだあ!」「異議なあし!」「賛成! 賛成!」「ばんざあい!」「進めえ/\! みんなとつかんだあ!」松は俄かに線路の土堤をさして号令をかけました...
槇本楠郎 「文化村を襲つた子供」
...俄かに上ッ調子になって来たのか...
吉川英治 「剣難女難」
...重蔵は俄かに足の関節を押さえながら...
吉川英治 「剣難女難」
...奥方(おく)っ」と徐寧は俄かに妻を呼んで――「いま隆さんから聞くと...
吉川英治 「新・水滸伝」
...その伊織が、めずらしく、甘えてねだると、武蔵は、「……ウム」生返辞して、考えてはいたが、「よし、連れて行ってつかわそう」伊織は雀躍(こおど)りして、「天気もいいし」と、もうおとといの晩の空への怨みも忘れ果てて、俄かに、この家(や)の老百姓に告げて、弁当を乞い草鞋(わらじ)をもらい、「さあ、参りましょう」と、武蔵を促(うなが)す...
吉川英治 「宮本武蔵」
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