...その横坐わりのままあたまを少し後(うし)ろへ反(そ)らせて「なるほど! わたくしのような無学のものには小説なんかはいい加減に作り事を書いて...
岩野泡鳴 「猫八」
...しゃべってるうちに傍(そば)から傍からいろいろな作り事考え出して...
谷崎潤一郎 「卍(まんじ)」
...また有名な「三人一両損」の裁判でもこれを西鶴に扱わせるとその不自然な作り事の化けの皮が剥がれるから愉快である...
寺田寅彦 「西鶴と科学」
...僕の作り事に気づいた初めての人です...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 大久保ゆう訳 「唇のねじれた男」
...全く兄さんの作り事さ」「悪(にく)らしい」糸子はめでたく笑った...
夏目漱石 「虞美人草」
...決して作り事とばかりは申されません...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...この少年の作り事に過ぎなかつたのである...
堀辰雄 「鼠」
...現實あるひは夢が彼の作り事以上であつたことは...
堀辰雄 「鼠」
...だから人間は作り事やお伽噺を作るのであり...
三木清 「人生論ノート」
...いつも不自然な作り事であると反感を持ったものであるが...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...私のようなきまじめな者さえその圏内へお引き入れになって作り事までお言わせになりますからね」と時方は右近へ言った...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...そういう部分にはかえって作り事が少ないかと思う...
柳田國男 「野草雑記・野鳥雑記」
...単なる作り事ではこれまでに人は欺きえない...
柳田国男 「山の人生」
...同時に彼女の儚(はか)ない空想を現実に満足させようとしたのと同じ心理から出た作り事で...
夢野久作 「少女地獄」
...奥さんを三越の玄関で引っくり返らしたりなんかして……作り事にしては相当骨が折れるぜ...
夢野久作 「少女地獄」
...根も葉もない作り事をして...
夢野久作 「白髪小僧」
...そんな作り事を聞きに来たのではない」「いや、作り事として、水に流す気ならその方が大いによろしい...
吉川英治 「私本太平記」
...城門の番士には、「殿様が御持薬(ごじやく)の咳薬(せきぐすり)を、お忘れになったから、追いかけて、お渡ししてくる」と、作り事をいい、駒に鞭(むち)をあてて、出陣の列を追って行った...
吉川英治 「茶漬三略」
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