...……わけて熊野の僻村らしい…その佗しさが思遣(おもいや)られる...
泉鏡花 「遺稿」
...あれは佗しく貧寒な光景であり...
梅崎春生 「狂い凧」
...それは場末の如何にも佗びしい町でしたが...
相馬愛蔵 「私の小売商道」
...せくゞまつてゐる自分をいかにも佗人らしくする...
種田山頭火 「行乞記」
...樋から落ちる湯(膳部がいかにも貧弱なのはやつぱり佗しかつたが)...
種田山頭火 「旅日記」
...悲しいとか佗(わび)しいとか辛(つら)いとか恨(うら)めしいとかいふ音が一斉に其処に集つてやつて来たやうにかれは感じた...
田山花袋 「ある僧の奇蹟」
...へんに佗びしい気持ちになった...
豊島与志雄 「女心の強ければ」
...もはや自分の病気や冬や佗(わび)しい光や孤独などのことを考えなかった...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...黙ってゲームを見ている松井の心にある佗びしい思いが湧いた...
豊島与志雄 「球突場の一隅」
...却って佗しい気分を唆った...
豊島与志雄 「反抗」
...仁和寺の掛茶屋に客を呼ぶ婆さんの白い手拭も佗びしさを添へた...
長塚節 「菜の花」
...自分は佗(わび)しい胸の上に両手を当てて下宿へ帰った...
夏目漱石 「行人」
...こうした聯想(れんそう)が今の彼を特更(ことさら)に佗(わ)びしく思わせた...
夏目漱石 「道草」
...なぜか佗しい気持でいっぱいだった...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...佗しく暗い気分のなかに...
原民喜 「美しき死の岸に」
...その佗(わ)びしい墓さえ...
堀辰雄 「花を持てる女」
...――毎日二階にこもりながら訪ふ人もない冬の日の佗びしさは...
室生犀星 「故郷を辞す」
...一人古い船の巣へ戻る佗しさに耐え難くて発した嘆きと思われたに違いない...
横光利一 「旅愁」
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