...何某(なにがし)にひかされて...
泉鏡花 「浮舟」
...ことに去年お年玉と言って何某(なにがし)のくれたものをつきかえした時の自分の心持...
高浜虚子 「俳句の作りよう」
...「何某の大店(おおだな)の表看板を打ち毀(こわ)して...
高村光雲 「幕末維新懐古談」
...それから小石川水道端の木平何某の悴(せがれ)の木平愛二という人が弟子になった...
高村光雲 「幕末維新懐古談」
...人間の生の顔の方には唯何某といふ人の...
高村光太郎 「能の彫刻美」
...真女児は己(じぶん)はこの国の受領の下司(しもづかさ)県(あがた)の何某(なにがし)が妻であったが...
田中貢太郎 「蛇性の婬」
...われわれは浄瑠璃(じょうるり)の松王丸を見るかわりに俳優何某の松王丸しか見ることができないのであるが...
寺田寅彦 「生ける人形」
...そうして何の何某が何日にどこでこれに遭遇するかを予言する事はいかなる科学者にも永久に不可能である...
寺田寅彦 「化け物の進化」
...東京に於ても何某の行者といふやうなものに...
内藤湖南 「日本文化とは何ぞや(其一)」
...また種子が現在関係している男の中で、探偵社の調査したものは、筑前琵琶(ちくぜんびわ)の師匠何某(なにがし)、新派俳優の何某、日本画家何某の三人であるという...
永井荷風 「ひかげの花」
...兄弟分が御世話になりますからとの口上を述べに何某が鹿爪(しかつめ)らしい顔で長屋を廻ったりした...
永井荷風 「深川の散歩」
...然るに親族の中今日上院の議員となり居れる何某の如きは墓石に位階勲等を記入せんとし又某県の知事を勤めいたる何某の如きは某寺の僧より内々頼込まれたる事でもありしと見え家翁の平素より釈氏を好まざりし事を知りながら仏葬せよといいたる事なぞあり...
永井荷風 「偏奇館漫録」
......
樋口一葉 「別れ霜」
...此処の何某方何番地を訊ねる要もない...
牧野信一 「東中野にて」
...駒込署刑事何某とあった...
室生犀星 「或る少女の死まで」
...巡査何の何某(なにがし)と書いてあった...
森鴎外 「雁」
...何某という軍医、恙の虫の論に図(ず)など添(そ)えて県庁にたてまつりしが、こはところの医のを剽窃(ひょうせつ)したるなり云々...
森鴎外 「みちの記」
...本宿(もとじゅく)より来る路にて何某という老人にあえり...
柳田国男 「遠野物語」
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