...盗まれたものは何もない...
江戸川乱歩 「黄金仮面」
...」というと、武億はとろんこの眼を睡そうに瞬きながら、「何もない...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...そして何もない...
田畑修一郎 「石ころ路」
...何もないのに何か意味ありげに思はせたり...
田山録弥 「三月の創作」
...師匠とか先生とかは何もない...
田山録弥 「私の考へてゐる事」
...直接の関係は何もないが...
中谷宇吉郎 「「もく星」号の謎」
...罪も何もないのに」薄きにもかかわらず豊(ゆたか)なる下唇(したくちびる)はぷりぷりと動いた...
夏目漱石 「野分」
...飾りつけの何もないがらんとした部屋々々に...
林芙美子 「浮雲」
...押入れも何もない汚ない部屋...
林芙美子 「新版 放浪記」
...相互に反対する事物は何もない」の...
デイビッド・ヒューム David Hume 井上基志訳 「人間本性論(人性論)」
...なぜなら春が寒いといふ事象の外この場合何もないので本来なら歌は成立しない筈である...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...相手も何もないかのような語気で云った...
堀辰雄 「菜穂子」
...この画も薄のほかに木も堤も何もないので...
正岡子規 「病牀六尺」
...何もないところから一着のズボンをつくり出すポーランド人の手品ということわざがありますが...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...元来この日は、自分は何となく嬉しくいそいそとしていた、しかし何ゆえ嬉しかッたのかその理は知らなかッた、が何がなしに嬉しかッたので臥床(ふしど)へはいッてからも何となく眠(ね)るのが厭(いや)で、何となく待たるるものがあるような気がするので、そのくせその待たるるものはと質(ただ)されるとなに、何もないので、何もないと知ッているが、そこが妙なわけで,夢現(ゆめうつつ)の間でたしかあるように思ッているので、どうも臥(ね)るのが厭であッた,それゆえ床の上に坐ッていると、そら、娘の姿がちらちら目の前に現われて来た...
矢崎嵯峨の舎 「初恋」
...大概は教養も何もない人たちであった...
柳宗悦 「四十年の回想」
...働くということより何もないのですよ...
横光利一 「旅愁」
...怖がることは何もない」と...
吉川英治 「新書太閤記」
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