...此漠然とした目的も手段も何もない處が...
石川啄木 「雲は天才である」
...ただ一種の学的偏執狂(モノマニア)――父性愛も何もない本当の一個の偏執狂としか現れてはいなかった...
橘外男 「令嬢エミーラの日記」
...「そんなことはありませんが、私は、家もない、何もない、姐の家に世話になって、それで、日間は親類の鋪へ出ているものですから」「他に御事情がなければ、他に御事情があればなんですが、そんなことなら私の方でどうにでもいたしますから」そう言って白娘子は顔をあげて婢を呼んだ...
田中貢太郎 「雷峯塔物語」
...そこには何もないのです...
谷譲次 「踊る地平線」
...この鮹まさに千両!御馳走は何もない...
種田山頭火 「其中日記」
...蒲団(ふとん)も何もない...
徳永直 「戦争雑記」
...処がそこにはこの客観に相当するものは何もない...
戸坂潤 「範疇としての空間に就いて」
...いかに幸福であることぞ! 幸福であるようにできてるのだ! 彼のうちには、幸福を信ぜないものは何もなく、その小さな熱中した全力を尽して幸福を目指さないものは、何もない……...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...「何もないよッ...
林芙美子 「おにおん倶樂部」
...筵も何もない処で臆びれもせず虚空な眸を見ひらいてゐた...
原民喜 「氷花」
...僕のなかにはもう何もないのか...
原民喜 「鎮魂歌」
...ですよね? 貴方は私のことを金持ちで豪奢で足りないものは何もないくらいに...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...それ切(ぎり)で外(ほか)には何もない...
福澤諭吉 「福翁自伝」
...」「何と云つて怒つてる?」「何と云つてるも何もないよ...
牧野信一 「池のまはり」
...……この期(ご)にわが身のしてやれることは早や何もない...
吉川英治 「私本太平記」
...今は後の憂いは何もない...
吉川英治 「新書太閤記」
...ぼくの耳にも眼にも残ったものは何もない...
吉川英治 「忘れ残りの記」
...」「何もないよ、モリー...
J. S. レ・ファニュ J.S.Le Fanu The Creative CAT 訳 「ドラムガニョールの白い猫」
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