...それがまた、右京左京(うきょうさきょう)の区別なく、どこも森閑と音を絶って、たまに耳にはいるのは、すじかいに声を飛ばすほととぎすのほかに、何もない...
芥川龍之介 「偸盗」
...参与物質の毎グラムにつきなお一層著しく多量な熱量を消費するような化学作用が起るかも知れないということの蓋然性を否定するようなものは絶対に何もないのである...
スワンテ・アウグスト・アーレニウス Svante August Arrhenius 寺田寅彦訳 「宇宙の始まり」
...その下にも何もないのであるから間違いなくそれは1である...
佐野昌一 「虫喰い算大会」
...何もないのだ...
太宰治 「正義と微笑」
...それでは女としての意地も張りも何もないやうな氣がして...
田山花袋 「道綱の母」
...ドールン ややこしいも何もない...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「かもめ」
...帷幄も何もない露出(むきだ)しの寝床である...
ディッケンス Dickens 森田草平訳 「クリスマス・カロル」
...愛し合うということよりほかにはほとんど何もない...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...まるっきり証拠も何もないことでお捕(つか)まえなさるのはあんまり御無理なことで……」「ナニ...
中里介山 「大菩薩峠」
...猪のように疾走して去る外には殆んど生物の住んでいることを暗示させるものは何もない...
平林初之輔 「犠牲者」
...何もない平地(へいち)で...
セルマ・ラーゲルレーヴ Selma Lagerlof 矢崎源九郎訳 「ニールスのふしぎな旅」
...私は先人の研究が何もないため...
柳宗悦 「四十年の回想」
...宇宙を流るる大きな虚無……時間と空間のほかには何もない生命の流れを私はシミジミと胸に感ずるような女になって来ました...
夢野久作 「少女地獄」
...それ以上の立派なことは何もない...
横光利一 「欧洲紀行」
...働くということより何もないのですよ...
横光利一 「旅愁」
...旧怨などは何もない」「それにしては...
吉川英治 「三国志」
...西出丸の何もない焼け野原や射撃場の辺に...
吉川英治 「日本名婦伝」
...ぼくの耳にも眼にも残ったものは何もない...
吉川英治 「忘れ残りの記」
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