...話好(はなしずき)の伯母さんは自身四十九年間の一切の記憶の絲を經(たて)に入れる...
石川啄木 「葬列」
...自分の妹のことを伯母さんの子供みたいに思っていた訳です...
海野十三 「あの世から便りをする話」
...その伯母さんのよりも...
江戸川乱歩 「湖畔亭事件」
...欲ばかしにかかってもいられませんよ伯母さん...
徳田秋声 「足迹」
...伯母さんは、やっぱり亡くなっておりました...
豊島与志雄 「ヘヤーピン一本」
...伯母さんは毎朝仏様へお供物をあげる時に――それは信心深い伯母さんの幸福な役目であつた...
中勘助 「銀の匙」
...伯母さんの考へによれば即ち私が極楽にゐた時の名まへであるところの一喚即応童子(いつくわんそくおうどうじ)といふのを空(そら)に覚えさせた...
中勘助 「銀の匙」
...女は小判なりの薫のたかい麦粉菓子をとりだして指のさきにくるくるとまはしながら「坊ちやん 坊ちやん」と手にもたせてくれたので伯母さんはしかたなしにそれを買つた...
中勘助 「銀の匙」
...伯母さんははらはらして「弱い子だにかねしとくれよ」と急いで帰らうとするのを二三人の奴がばらばらと追つかけてきて足をひつぱつてひきずり落さうとしたので私は頸つたまに獅噛(しが)みついて火のつくやうに泣きだした...
中勘助 「銀の匙」
...なんでもちよいちよいかじつてる重宝な伯母さんはひとに鼓をうたせながら自分は太鼓を大革にしていい按排に拍子をあはせる...
中勘助 「銀の匙」
...地獄の釜の蓋のあく日がきて陰鬱な鐘の音が人を促すやうに鳴りはじめると伯母さんは気のすすまない私に花色の帷子(かたびら)をきせ...
中勘助 「銀の匙」
...彼らの声がきこえると伯母さんは私をつれていつてみんなに耳うちをして帰つてゆく...
中勘助 「銀の匙」
...伯母さんは「この弱い子をどうせるだ どうせるだ」といつて「私がよういつてきかせるで」とかばひながら寐間へつれて逃げた...
中勘助 「銀の匙」
...伯母さんは私の好きな駄菓子を蛤の貝殻へいれ赤い紙で封じておいて学校から帰つて鞄をはふりだすとお仏壇の抽匣から出してくれる...
中勘助 「銀の匙」
...つねづね伯母さんにも松は神木だときいてたゆゑ私は松の木が迷信的に好きであつた...
中勘助 「銀の匙」
...伯母さんは嬉しまぎれに前後の見さかひもなく「東京から□さがきたにちやつといつぺん来てちやうだえんか」といつて呼び集めてきたのである...
中勘助 「銀の匙」
...伯母さんをも早く安心させておあげなさりまし...
樋口一葉 「十三夜」
...伯母さんは私を片輪だって云い歩いたんですって...
宮本百合子 「お久美さんと其の周囲」
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