...見るとファニーは安楽椅子に仰向きかげんに座を占めた母に抱きついて処きらわず続けさまに接吻していた...
有島武郎 「フランセスの顔」
...絶対安静を要する意味でいつも部屋の中で仰向きに寝てばかりいた...
大阪圭吉 「三狂人」
...仰向きになつて臥(ね)て居る...
谷崎潤一郎 「Dream Tales」
...庄造は掛け布団をすっかり剥(は)いで仰向きに臥(ね)ていたが...
谷崎潤一郎 「猫と庄造と二人のおんな」
...私の膝(ひざ)の上へ仰向きに上半身を靠(もた)せかけて...
谷崎潤一郎 「秘密」
...視感的空間では仰向きの茶わんとうつ向きの茶わん...
寺田寅彦 「物理学と感覚」
...私は仰向きに寝転ぶのだ...
豊島与志雄 「聖女人像」
...仰向きに転がった...
直木三十五 「南国太平記」
...仰向きになったまま...
直木三十五 「ロボットとベッドの重量」
...直ぐは蒲団の上に仰向きになれなくて...
中原中也 「我が生活」
...死骸は仰向きになっていなきゃならない」「…………」「死骸は俯向きになっているし...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...仰向きになりながら手と足とを働かせて動き(モーション)の遅い八五郎を滅茶滅茶に悩ませます...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...この通り床の上に仰向きになつて居るのを...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...もう久しい前からあらゆる交際を断って、謂ゆる横寝五郎造氏とばかり懇ろにしていた連中、(これは『横臥する』とか『ごろごろしている』という動詞から出た有名な文句で白河夜舟氏を訪ねるなどという文句同様、横向き、仰向き、その他あらゆる恰好で、グウグウ鼾をかいたり、鼻を鳴らしたり、その他いろんな附随動作をやりながら、まるで死んだように寝こんでいることを意味して、我がロシアでよく使われる洒落であるが、)そういった連中や、また目の下五尺もある蝶鮫と、口の中でとろけてしまいそうなパイを添えた、五百ルーブリも金のかかった魚汁(ウハー)を御馳走するといっても、いっかな家から誘い出すことの出来ないような連中までが、一人残らず飛び出して来たのである――一口にいえば、成程この市(まち)もなかなか賑やかで、大きくもあれば、人口も相当にある事が分ったのである...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...仰向きになってこう四足(よつあし)を突張りましてな...
二葉亭四迷 「平凡」
...二階の部屋のベッドに仰向きになって背中の方へクッションをつめて...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...ひとり仰向きに寝ころんで...
横光利一 「上海」
...咒禁師は仰向きに嫁菜(よめな)の上へ覆(くつがえ)った...
横光利一 「日輪」
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