...敬意を表しかたがた今後の寄書をも仰ぐべく特に社員を鴎外の仮寓(かぐう)に伺候せしめた...
内田魯庵 「鴎外博士の追憶」
...儂の敵だということは知っているであろうな!」「…………」私は凝乎(じっ)と無言で父様のお顔を打ち仰ぐ...
橘外男 「令嬢エミーラの日記」
...それは真正面から調停を仰ぐというわけではないけれど...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...われわれを振り仰ぐに違いない...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...種彦は書きかけた『田舎源氏』続篇の草稿の上に片肱(かたひじ)をついたまま唯茫然(ぼうぜん)として天井を仰ぐばかりである...
永井荷風 「散柳窓夕栄」
...都市は人口の点で地方からはなはだしく供給を仰ぐとは云い得ないのである...
トマス・ロバト・マルサス Thomas Robert Malthus 吉田秀夫訳 「人口論」
...草原に寝転んで青い大空を仰ぐとき...
三木清 「語られざる哲学」
...農作を害する諸野獣を除きくれるから土民は虎を幾らかその守護者と仰ぐ」とある...
南方熊楠 「十二支考」
...」アムリは時計を仰ぐと...
横光利一 「上海」
...あれを見ろ」「えっ、な、なんだ?」急に、勘蔵にそういわれて、勘蔵の見ている方を、何気なく、振り仰ぐと、いま出て来た楽翁の隣の二階に、頬づえついて、窓から往来を見ている男がある...
吉川英治 「大岡越前」
...君侯の顔を仰ぐと...
吉川英治 「鬼」
...彼のいる府門の柱を仰ぐと...
吉川英治 「三国志」
...お教えを仰ぐことができましょう...
吉川英治 「三国志」
...三「やっ」仰ぐと――その声のする空もいちめんの煙であったが...
吉川英治 「親鸞」
...仰ぐと、僅かに焼け残った城廓の一端、宇土櫓のうえ高く、白い司令旗は不動の意志を示して翻(ひるがえ)っていた...
吉川英治 「日本名婦伝」
...二度目に仰ぐと、もう旗岡巡査の顔は窓に見えなかった...
吉川英治 「旗岡巡査」
...だがお通は彼の顔を仰ぐことが出来なかった...
吉川英治 「宮本武蔵」
...仰ぐと、川向うの空も赤い...
吉川英治 「宮本武蔵」
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