...あの三作で文人としての名を残すのは仮令(たとい)文人たるを屑(いさぎよ)しとしなくてもまた遺憾であったろう...
内田魯庵 「二葉亭追録」
...仮令(たとえ)採用せられたとしても...
江戸川乱歩 「一枚の切符」
...仮令そこに照子がいたとしても...
江戸川乱歩 「恐怖王」
...とすると仮令それがどれ程不自然に見えようとも...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...爾の家は仮令豕小屋に似たり共...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...其作物に於て是非共現わさなければならぬと云う作家の一種の哲学に捉(とら)えられて、そして、事件の発展なり、性格の活動なりを、其自分の目的の都合の可いように、作家の私で殊更(ことさら)ああ云う結果に持ち来(きた)らしたと言われては、仮令(たとえ)、其現わさんとした哲学なり、教訓なりを現わす目的を如何(いか)に能(よ)く達しても、作家としての私の面目は潰(つぶ)れる訳になる...
「予の描かんと欲する作品」
...仮令(たとへ)身(み)はふるあめりかに触(ふ)るゝとも心(こゝろ)一つは汚(けが)さゞらましと詠(よ)んだと聞く...
新渡戸稲造 「自警録」
...仮令、私が、すえ子という情婦をもち、妻を殺しそうな情況にあるとしても、私が妻に故意に呑ませたという証拠を誰が挙げることが出来るでしょう...
浜尾四郎 「悪魔の弟子」
...仮令、如何なる理由があるとも、仮令、人一人の生命を救うがためであろうとも(しかもその人間は不正な人間であります)純潔なる少女を妖魔の如くに罵り、貞淑なる女を魔女の如くに侮辱し、しかも判決を以て天下にこれを公表するに至っては、どこに法律の善き所、正しき所が見い出されるのです? どこで法律は正義を代表しようとするのですか?罪ある者を誤って不当に重く罰する事は、天国に在るべき可憐な少女の魂を、地獄に陥すより遙に罪軽かるべきです...
浜尾四郎 「死者の権利」
...仮令(たと)い又私が奮発して...
福澤諭吉 「福翁自伝」
...仮令(たとい)如何(いか)に親密なる間柄(あいだがら)たるも...
福田英子 「妾の半生涯」
...仮令(たとい)刑期は一年半たりとも減刑の恩典なきにしもあらねば一日も早く出獄すべき方法を講じ...
福田英子 「妾の半生涯」
...仮令(たとい)字面は同じでも決してスゲ(Carex)の場合のスゲではない...
牧野富太郎 「植物記」
...本項はそれに就ての害を挙げる仮令(よし)や文芸上の大傑作であっても...
宮武外骨 「一円本流行の害毒と其裏面談」
...然しもう一つ異った場合、仮令えば、夫婦関係に於て、愛から女性は放縦な性慾の対手と成るに甘じる場合がある...
宮本百合子 「黄銅時代の為」
...又仮令(たとい)そんな人でなくとも...
夢野久作 「白髪小僧」
...仮令(たとい)、警察当局の方では、単なる呉一郎の発狂から起った事件として放棄しているにしても、精神科学応用の犯罪を研究する学者として、ここまで深入りして来た以上カンジンカナメの点を放(ほ)ったらかしたまま、後へ退(ひ)く事は、学者としての良心が第一、許さないだろう...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...これに反して仮令(たとい)...
夢野久作 「能とは何か」
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