...そのくらいはまだよいとして弟子共が持って来る中元や歳暮(せいぼ)の付け届け等にまで干渉(かんしょう)し少しでも多いことを希望して暗々裡(あんあんり)にその意を諷(ふう)すること執拗(しつよう)を極めたある時盲人の弟子があり家貧しき故に月々の謝礼も滞(とどこお)りがちであったが中元に付け届けをすることが出来ず心ばかりに白仙羹(はくせんこう)をひと折買って来て情を佐助に訴え...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...佐助も気の毒に思い恐る恐るその旨(むね)を取り次いで陳弁(ちんべん)するとにわかに顔の色を変えて月謝や付け届けをやかましく云うのを慾張りのように思うか知れぬがそんな訳ではない銭金はどうでもよけれど大体の目安を定めて置かなんだら師弟の礼儀というものが成り立たぬ...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...また余分の付け届けを持って行くとさしも稽古の厳重な彼女もその日一日はその子に対して顔色を和(やわら)げ心にもない褒(ほ)め言葉を吐(は)いたりするので聞く方が気味を悪がりお師匠さんのお世辞と云うと恐ろしいものになっていた...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...平素何等かの機会に充分の付け届けがしてあるのであろう...
豊島与志雄 「中支生活者」
...付け届けが行き渡るので...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...泥棒の付け届けを...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...付け届けと役得で...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...存分な付け届けをしたから...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...わちきたちがお馬へ年越しの角樽を付け届けしたことも知ってるし...
久生十蘭 「魔都」
...会計の役人が出入りの町人より付け届けを取るがごときは...
福沢諭吉 「学問のすすめ」
...盆暮にゃお付け届けをしてやるから...
正岡容 「寄席」
...付け届けでも悪かったり機嫌を損じたりすると...
山本笑月 「明治世相百話」
...まだ祖父の頃に諸家から贈られた付け届け物の鰹節...
吉川英治 「美しい日本の歴史」
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