...そのゝちは更に他念がなく...
谷崎潤一郎 「三人法師」
...他念なく登ってくだるまでのものでございます...
中里介山 「大菩薩峠」
...はや他念のない模様である...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...他念なかったということである...
吉川英治 「梅ちらほら」
...午(ひる)過ぎからせッせと縫い物に他念がありません...
吉川英治 「江戸三国志」
...他念のない有様(ありさま)です...
吉川英治 「江戸三国志」
...調書の整理や探究に他念がない...
吉川英治 「大岡越前」
...まったくどれほど他念なくこの十数日を暮らしたかもそれで知れる...
吉川英治 「剣難女難」
...飾師(かざりし)などが手入れ仕事に他念もない...
吉川英治 「私本太平記」
...自分も何か他念なく筆をもっていたところだったが...
吉川英治 「私本太平記」
...光秀は他念もない容子(ようす)でおかしがりながら...
吉川英治 「新書太閤記」
...ひとり夜空のたたずまいを整(ととの)えるに他念がない...
吉川英治 「新書太閤記」
...密談に他念なかった...
吉川英治 「新書太閤記」
...知事の時文彬(じぶんぴん)が他念なく時務の書類に目を通していた...
吉川英治 「新・水滸伝」
...「……おっ母(か)あ」彼の声は、土間の一隅に糸車をすえて、他念なく、糸を紡(つむ)いでいた老母の耳を怪しませた...
吉川英治 「新・水滸伝」
...杉本画伯はスケッチに他念がない...
吉川英治 「随筆 新平家」
...写経と読経のほか他念もない彼と成る...
吉川英治 「源頼朝」
...「しばらく、お待ちを……」と、巌流は、なお他念なく、「掌(て)の上の餌だけ、喰べさせてしまいますから」「御拝領の鷹じゃの」「されば、去年の秋、お鷹野のみぎりに、お手ずから戴きました天弓(あまゆみ)と名づくる鷹で、馴れるにつれ、可愛いものでなあ」掌に残された餌を捨て、朱房の紐(ひも)を手繰(たぐ)りかえして、「辰之助(たつのすけ)、鷹小屋へ入れておけ」と、うしろにいる年少の門人を顧みて、拳から拳へ、鷹を渡した...
吉川英治 「宮本武蔵」
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