...今程(いまほど)おれも苦(くる)しみはしまい...
芥川龍之介 「藪の中」
...この俺に感化されたのか家中が寢鎭つてから小供の襤褸布を取り出しても仕事は明日の晩にして本をよむ事にするどうかすると曉方までもう此頃はあの癖は止まつたらしい然しあの頃の事は矢張り思ひ出すだらうなあの頃は自分にも一番よかつた善惡の觀念が單純にはつきりして居て今程思想は混亂しないで心の儘に振舞つて...
千家元麿 「自分は見た」
...僕はあの時は今程夢子を恋ひしては居なかつたんだ...
谷崎潤一郎 「戯曲体小説 真夏の夜の恋」
...その頃は今程の收入がなくつてさへ...
田村俊子 「木乃伊の口紅」
...日本の昨今程に啓蒙というものの必要な時代は...
戸坂潤 「日本イデオロギー論」
...先生にとつて今程幸福な時はあるまい...
南部修太郎 「猫又先生」
...その時こそは今程俺を怖れぬやうになるだらう...
牧野信一 「闘戦勝仏」
...予は今程自身を無力に...
山本周五郎 「青べか日記」
...今程の苦痛は恐らくまたと來ないにちがひなからう...
横光利一 「悲しみの代價」
...「何故僕には今程の道義心が常になかつたか...
横光利一 「悲しみの代價」
...〔宮本武蔵書状〕(広島市八丁堀新見吉治氏旧蔵)尚々(なほなほ)、此(この)与右衛門(よゑもん)儀(ぎ)、御国へも可参(まゐるべく)候間、被成御心付(おこころづけなされ)候て被下(くだされ)候はゞ、可忝(かたじけなく)候、以上其後者(そのごは)、以書状不申上(しよじやうをもつてまをしあげず)、背本意(ほんいにそむき)奉存候、拙者も今程、肥後国へ罷下(まかりくだ)り、肥後守念比(ねんごろ)ニ申候ニ付而、逗留仕居候、於其元(そのもとにおかれ)御懇情(ごこんじやう)ノ段(だん)、生々世々忝奉存候、我等儀、年罷寄(としまかりより)、人中へ可罷出(まかりでるべき)様子無御座、兵法も不成罷体(まかりならざるてい)ニ御座候、哀れ今一度、御意度得存候、然者、此与右衛門ト申者、我等数年、兵法などをしへ如在(ある)なき儀ニ御座候間、御見知り被成候て、以来、被掛御目(おめかけられ)候ハヾ、可忝候、猶重而(かさねて)可得御意候、恐惶謹言(原文のまま、句点)八月廿七日宮本武蔵玄信(花押)寺尾左馬様人々御中【原寸、縦一尺一寸八分、横一尺六寸九分】この一書簡も、つぶさに見てゆくと、なかなか手紙のもつおもしろさや示唆がいろいろある...
吉川英治 「随筆 宮本武蔵」
...今程昔語に被為成候(なされさふら)はんとは...
吉川英治 「随筆 宮本武蔵」
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