...有王! おれはもう今生(こんじょう)では...
芥川龍之介 「俊寛」
...「こんなことを申しますと、貴客様は御不審におもわれましょうが、私の主人が長年の煩(わずら)いでございまして、主人と申しますのは、某(さる)藩中でも人に知られた武士でございましたが、得体の知れない病になり、禄を辞退して此の森陰に隠れてから、彼れ是れ二十年にもなります、今はもう痩せ衰えて、明日も判らない御体でございますが、折好く貴客様が此処を御通りになることを聞いて、今生の思出に、舞の一手を御願い申したいと、私奴に云いつけて、貴客様の御出ましになるのを伺っておりました...
田中貢太郎 「人面瘡物語」
...彼は安政六年四月二十五日、書を象山に与えて、「幕府諸侯、何(いず)れの処か恃(たの)むべき、神洲の恢復、何れの処より手を下さん、丈夫の死所、何れの処か最も当らん」の三条を問い、かつ曰く、「僕、今生きて益なく、死するに所なし、進退これ谷(きわ)まる...
徳富蘇峰 「吉田松陰」
...今生(こんじょう)での――」と...
直木三十五 「南国太平記」
...青磁のなかから今生れたようにつやつやして...
夏目漱石 「草枕」
...今生きていると皆百歳以上だろう...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...今生金の大小便ばかり垂れ散らす象を得たとあるが...
南方熊楠 「十二支考」
...今から思いますとその時が今生(こんじょう)のお別れで御座いました...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...今生の見納めに連れ立って見に参ろうでは御座らぬか...
夢野久作 「名娼満月」
...今生というと、来世もあるつもりか...
吉川英治 「大岡越前」
...――と、すれやあ、今生の根かぎり、楽しむしか手はねえじゃねえか...
吉川英治 「大岡越前」
...来世を願うよりも今生(こんじょう)に楽しもう...
吉川英治 「三国志」
...わが今生の寿命も...
吉川英治 「三国志」
...「今生(こんじょう)のわかれとは異なことをいう...
吉川英治 「新書太閤記」
...今生(こんじょう)の名残りを得させ賜(たま)われ――)と...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...よそながら今生の御いとま乞いにと伺候した心のうちを...
吉川英治 「日本名婦伝」
...コレ今生(コンジョウ)ノ名残リゾト...
吉川英治 「梅里先生行状記」
...彼は今生きることの苦しさに圧倒せられて自分のようなものは生きる値打ちもないとさえ思っている...
和辻哲郎 「樹の根」
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