...今し方御新造が御見えなすったよ...
芥川龍之介 「奇怪な再会」
...剣は今し方磨(と)いだように鍔元(つばもと)から切先(きっさき)まで冷やかな光を放っていた...
芥川龍之介 「素戔嗚尊」
...今し方この門の下を通りかかった旅の者だ...
芥川龍之介 「羅生門」
...街の時計は方々で今し方三時を打ったばかりだのに...
ディッケンス Dickens 森田草平訳 「クリスマス・カロル」
...「香川さんは今し方ビルディングの事務所へ行きはしなかったろうか」私は中へ入って...
野村胡堂 「新奇談クラブ」
...それともツイ今し方だったか...
野村胡堂 「焔の中に歌う」
...『今し方までいたのとまるで同じ所ですよ...
ナサニエル・ホーソン Nathaniel Hawthorne 三宅幾三郎訳 「ワンダ・ブック――少年・少女のために――」
...……今し方、横丁の文房具屋まで便箋を買ひにでて、そこに春待つ羽根のたぐひの山ほど積まれてあるのをみいだしてはじめて私は、ホツと安心したやうなものを感じた...
正岡容 「下町歳事記」
...その人物は、たしかに、つい今し方、この駕籠を、自分のために、呼びに行ってくれた、あの若い衆に相違ない...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...どうしてまたお前さんはご存じなんですえ」「今し方...
吉川英治 「剣難女難」
...今し方、わたくしの部屋の庭先へ、誰か礫(つぶて)を投げた者があるので、ふと下りてみると、結び文に小石をつつんだのが落ちていました...
吉川英治 「新書太閤記」
...つい今し方、麓の柵(さく)から、一人の武者が使いに来て、官兵衛の手へ何やら一通の書面を手渡して行ったのは見ていたが――それにしても何用が起ったのか、想像もつかない...
吉川英治 「新書太閤記」
...ついまだ今し方のことだという...
吉川英治 「新・水滸伝」
...勅答の式を済ました三卿は、今し方、席を移して、大奥の桂昌院と対談中の頃あいである...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...ぎょっとしたが、啓之助、さあらぬ顔で、「お、御退屈をまぎらわしに、今し方、庭下駄をはいて前栽(せんざい)のほうへ出られたが」「そろそろお時刻が近づきました」「ム、もう一刻(とき)ばかりじゃの」「あまり間際に迫りませぬうち、天神の船待場(ふなまちば)の方へ、私が御案内申しまする」「そうか……それは大儀……ム、では三位卿が見えられたら、すぐに支度をするであろう」と落ちつかぬ自分の所作(しょさ)に気がついて、またそこへ坐りなおした...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...「おや、ご家老は、どちらへ行かれたか、今し方、ここにお見えであったが」井上玄桐は、さがしていた...
吉川英治 「梅里先生行状記」
...今朝も、今し方も、吉岡道場の使いが来て、それにもいってやった通り、もう武蔵はここにはとっくにいねえのだ」「いないなら、大人しく、いないといえば分るじゃないか...
吉川英治 「宮本武蔵」
...「おい、どうした」と、少し弾(はず)んだ声で慰問すると、牢番同心は、初めて気がついたように、「あ、東儀様でございますか、今し方まで、加山殿と波越殿が、非常にさがしておいでになりましたが」「えっ、では一度ここへ立ち帰ったのか」「はい、戻るとすぐに、身なりもあのままで、よほどなご急用とみえて、ご両所とも町駕(まちかご)を飛ばしてどこへかお急ぎになりました」「はてな? ……そして唖男の行く先は首尾よく突き止めたようか」「まるで目的(あて)が外(はず)れました」「やつ、逃げ失せたか」「いえ、その唖奴は、ご両所の帰るより前に、ひとりでのこのこと伝馬牢に舞い戻って来て、あげくの果てに、ひとりで牢へはいって澄ましこんでおるのです...
吉川英治 「牢獄の花嫁」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??